商品・サービスの品質は横並びになり、差別化できる要因は減ってきている。ところがビッグデータを活用すれば、想定外の品切れをなくすなど、「リアルタイム処理で差をつける」道が開けるのだ。
しかも大量のデータは、これまで見えなかったことを気付かせる効果が期待される。分析や共有、配信などの方法を工夫すれば、発見、洞察をさらに促進できる。
社内データ活用の
「棚卸し」を急げ
それでは、ビッグデータ活用に向けて、日本の企業は何をすべきだろうか。
栗原氏は、まず、ビッグデータには2種類あることを認識すべきだと指摘する。
ネット系企業が活用しているビッグデータは、ウェブログ、ソーシャルメディアのデータ、画像・動画などのマルチメディアデータなどである。これらを「エマージングビッグデータ(新興ビッグデータ)」と名付けてみよう。
一方、一般企業は、今まで拾わなかった詳細情報まで含めたPOSなどのトランザクションデータ、リポートやプレゼン資料などのドキュメント、メールなどのビッグデータを抱えている。これらは、「トラディショナルビッグデータ(伝統的ビッグデータ)」と呼んでおく。
一般企業が事業を強化するためには、後者の「トラディショナルビッグデータ」の活用を意識すると効果的だ。
「トラディショナルビッグデータ活用を活性化するために、社内で『情報活用の棚卸し』をすることをお勧めします。価値の高い情報が、ワープロ文書の形で現場に眠っているかもしれません。データウエアハウス利用が形骸化しているかもしれません。業務上ではまだエマージングビッグデータを生成していない企業においても、ビッグデータ活用は極めて大切な経営課題なのです」と栗原氏は強調する。
ビッグデータからは、新たな価値が生み出せると同時に、新たな課題も次々に発見されるだろう。まずは、「スモールデータ活用」の実態を、自社の企業戦略の視点から見直すことを急務としたい。