2班の吉津実咲さんは、「私たちが目指すのは、地域住民が主体となって地域資源を掘り起こし、新たに価値を付けることで持続的な活性化ができるきっかけをつくること。地域の資源のみで活性化が困難な場合は、資源やノウハウを外部から補うなど地域住民の自立的発展のために学習を促す仕組みづくりが鍵を握ると考えています」と語る。
実際に、人気アニメのキャラクターとコラボレーションした“アニメツーリズム”を企画するなど、外部資源を利用したオープンイノベーションの可能性を模索している。
3班は、フィリピンに拠点を置くアウトソーシング企業であるプライムマンパワー・ジャパンと連携し、海外インターンシップの新しい在り方を提案している。
3班の島方周平さんは、「従来のインターンシップは、せっかく現地に行っても企業の一員としてルーティン業務を体験する形態で、学生と企業を掛け合わせることによるメリットや海外でのインターンシップのメリットを享受できず、お互いの成長につながっていませんでした。そこで、私たちの専門性を生かして新規顧客獲得を目指すなど、双方が成長できるインターンシッププログラムの構築を提案しています」と話す。
同社の洪(こう)耕一代表は、「毎年、吉田ゼミの学生をフィリピンの拠点においてインターンシップで受け入れていますが、単なる体験ではなくWin―Winの仕組みを目指す提案は大歓迎。ローカルスタッフではできない日本企業向けのマーケティングなど、もはや戦力として期待しています。意欲のある学生に刺激をもらいながら、お互いに成長していきたい」と産学連携の効果を語る。
外部に積極的に学生たちを送り出す駒澤大学のゼミ活動。キャンパス内で理論を学ぶだけでなく、実践的な学びの機会を数多く提供し、学生たちの人間力をたくましく育てている。
駒澤大学ing
世田谷区用賀で地域活性貢献
プロジェクトに取り組む
駒澤大学では2018年4月に地域社会に開かれた研究拠点として、持続可能な地域経済社会の実現のため、「現代応用経済学科ラボラトリ」を設置した。経済学部現代応用経済学科の松本典子教授のゼミ「用賀部」の活動はその一環だ。地元・世田谷区用賀の地域活性貢献プロジェクトとして発足したもので、具体的にはゼミの学生が用賀地域の活性化のため、情報動画の配信やリトルプレスの発行など、さまざまな取り組みを同商店街と協働しながら行っている。
「18年4月からは期間限定的に、用賀を中心に活動しているNPO法人neomuraと協働でneobar(ネオバル)の運営も実施しました。地域に開かれ、地域をつなぐバルの運営に貢献することで、用賀の地域活性化に貢献するとともに、地方と世田谷区をつなげていく活動にもなりました」と松本教授。
「用賀部」は、地域活性化という目的を持って始められた取り組みだが、学生と地域の人々のつながりを生み出す取り組みでもある。「一過性のプロジェクトではなく、人と人との信頼性を大切にしながら、継続できる協働事業として育てていきたい」と松本教授は意気込んでいる。