とはいえ、通信事業の新規参入者は、仮想化とクラウドベースのネットワークに賭ける以外に選択肢がほぼない。楽天は8月、同社の技術をドイツの通信事業者1&1 AGに提供することで合意した。1&1 AGは年内にドイツで無線ネットワーク構築に着手する予定だ。

 米国ではディッシュが、通信大手のベライゾン・コミュニケーションズ、AT&T、TモバイルUSに次ぐ第4の携帯電話サービス事業者になることを目指している。

 衛星放送事業で知られるディッシュは、アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)が提供するクラウドサービスを用いた5Gネットワークの導入を計画している。同ネットワーク初の試験運用は年内にラスベガスで実施する予定だ。

 ディッシュのチャーリー・アーゲン会長は8月9日に行われた決算電話会議で、仮想化によって、既存のインフラを持たない事業者にも競争のチャンスが与えられ、通信業界に変革が起きるだろうと述べた。

 一方、既存事業者もより慎重な態度ではあるが、仮想化技術を採用している。携帯電話サービス国内首位のNTTドコモは、コアネットワークの約半分を既製品のハードウエアで動作させ、音声通話も同様に処理しているという。同社は2024年度までにコアネットワークの仮想化を完了させる予定だ(基地局はその計画に含まれていない)。

 ドコモは「軟着陸する方向性で全体の業務を見直し、仮想化で得られるメリットを最大化する」とした。

 ベライゾンと韓国サムスン電子は最近、テキサス、コネティカット、マサチューセッツの各州において完全に仮想化されたエンド・ツー・エンドの5Gデータ通信セッションを終えたと発表。ベライゾンはこの試験で、従来のハードウエアベースの機器と同等の通信速度を実現したと明らかにした。

 「先進5Gネットワークが可能にするサービスを提供するために、仮想化は極めて重要だ」とベライゾンは述べている。

(The Wall Street Journal/Megumi Fujikawa)

TOP