携帯電話事業が元凶となり巨額赤字にあえぐ楽天グループ。資本不足をカバーするために乗り出したのが、政府による救済色の強い日本郵政や、経済安全保障の懸念が渦巻く中国テンセントからの出資の受け入れだ。だが、常識外れの料金値下げで携帯事業の収支が均衡する見通しは立たない。アマゾンジャパンに対抗の物流投資も圧迫し、資金不足が再び顕在化するのは必至。資金を燃やし続ける携帯事業に傾注する三木谷浩史会長兼社長は、果たして窮地を切り抜けられるのか。特集『楽天 底なしの赤字』は、5月31日(月)から6月6日(日)までの全7回の連載で配信する。(ダイヤモンド編集部 村井令二)
#1 5月31日(月)配信
楽天を襲う「携帯基地局消失」の恐怖、ノウハウ盗用でソフトバンクが提訴の泥沼
楽天が携帯電話基地局の整備を加速している。三木谷浩史会長兼社長は当初計画の「5年前倒し」に自信を示したが、これに猛反発しているのがソフトバンクだ。今年1月、ソフトバンクから楽天モバイルに転職していた元社員が不正競争防止法違反で逮捕されたことで、「楽天は、元社員が盗んだ機密情報で基地局整備を加速した」との主張を強め、5月に民事訴訟に乗り出した。その主張が本当ならば、楽天は、これまで整備した基地局を破棄するという前代未聞の事態に追い込まれ、昨年4月に本格参入した携帯電話事業が壊滅的なダメージを受けるのは必至だ。独自取材で泥沼の争いの行方を追った。
#2 6月1日(火)配信
楽天が目論む「雪だるま式赤字」解消法、ahamo対抗の「1GBまで0円」驚愕の成算
2020年4月の携帯電話事業の参入と同時に打ち出した月額「2980円」という破格の料金体系は、NTTグループの「アハモ」の襲来で打ち砕かれた。対抗して繰り出したのが「1GBまで0円」という常識外れの料金体系だ。携帯電話基地局の5年前倒し整備による設備投資も膨らみ、ただでさえ苦しい携帯事業の赤字は雪だるま式に膨らんでいる。果たして赤字から脱却して楽天は立ち直ることはできるのか。
#3 6月2日(水)配信
楽天の救世主・日本郵政に迫る「追加投資」地獄、官製救済のツケ
携帯電話事業の巨額赤字で2020年12月期の財務が悪化した楽天が頼ったのは、日本政府が過半数の株式を握る日本郵政だった。官製救済シナリオに死角はないのか。早くも日本郵政グループ内部では、「1500億円出資」の追加負担を懸念する声が上がっている。
#4 6月3日(木)配信
楽天・三木谷帝国が赤字に怯まない理由、内弁慶巨大グループ解剖で見えた「一筋の光」
2012年に英語公用語化を徹底してから間もなく10年。しかし、海外売上高比率は18%に留まり、その実態は、国内eコマース(電子商取引)と国内金融の2事業を主力にする内弁慶企業だ。加えて乗り出したのが、eコマースと金融のシナジーを狙う携帯電話事業だ。グループ総帥の三木谷浩史会長兼社長は、創業以来最大の赤字の劣勢を巻き返してグループをどう立て直そうとしているのか。巨大コングロマリットを解剖することで、打開の秘策を探る。
#5 6月4日(金)配信
楽天&日本郵政提携に早くも亀裂、元凶はアマゾン対抗「物流投資」の押し付け合い
携帯電話ネットワークの設備投資で資金流出が続く楽天を圧迫するもう一つの資金需要が、宿敵アマゾンジャパンに対抗するための物流投資だ。楽天は、日本郵便との共同出資会社に物流センターを移管することでその負担を免れたい考えだが、提携先の日本郵政グループの思惑とは大きなズレがある。タッグを組んだばかりの両社には不穏な空気が流れている。
#6 6月5日(土)配信
楽天市場「ポイント改悪」ラッシュ、三木谷圧政に疲弊する出店者の反撃
楽天グループの屋台骨である「楽天市場」は巣ごもり需要の増加で活況を呈している。しかし、その裏では人知れず、携帯電話事業の赤字を埋めるための強引な施策も目立つ。三木谷氏の「圧政」に出店者は悲鳴を上げている。
#7 6月6日(日)配信
楽天・三木谷氏の懐刀を直撃、社運を懸けた携帯事業「黒字化」の秘策は
楽天の携帯電話事業をけん引するのは、三木谷浩史会長兼社長のリーダーシップであるのは間違いない。三木谷氏の懐刀である矢澤俊介・楽天グループ常務執行役員(楽天モバイル副社長)は、楽天市場の統括役という要職に就いていたが、今度は、社運を懸ける携帯事業の拡大を任された。楽天グループのキーマンを直撃した。
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