事業者の事業拡大
業務効率化も期待
木村 努 取締役 営業本部長
「交換タイヤ」と連動して、事業者側に「タイヤカルテ」機能を提供することも大きな特徴だ。ノーマル、スタッドレス双方の交換したタイヤのメーカーやモデル、サイズ、製造年週だけでなく、溝の深さやキズの有無などの状態といった詳細情報を記録しておくものだ。
「JAF(日本自動車連盟)によれば、タイヤトラブルの救援要請が10年で10万件増えています。その理由として、セルフ式ガソリンスタンドの増加に伴い、タイヤ点検の機会が減ったことが考えられます。『交換タイヤ』を利用することで、ドライバーは少なくとも年2回はタイヤの状態をプロにチェックしてもらえます。また事業者は、カルテを基にタイヤ買い替えやメンテナンスの提案をすることで顧客接点を強化し、新規顧客獲得やリピーター増加につなげることができます」(木村取締役)
「交換タイヤ」には、オンライン決済機能も搭載している。ドライバーは予約から支払いまでがワンストップで行え、事業者は煩わしい出納業務から解放され、業務効率化が図れるのだ。
アプリを通じて
持続可能社会に貢献
同社では、数年前から事業者に対して物流会社に交換したタイヤの保管依頼や返却依頼を行う「預かりタイヤ」、物流会社に対して事業者から回収したタイヤを保管・返却するためのクラウド在庫管理システム「クラロジ」というタイヤ保管サービスを提供してきた。「交換タイヤ」によって、ドライバー、事業者、物流会社が一つにつながる仕組みが出来上がった。
事業者の「交換タイヤ」アプリ登録料や利用料は無料。ドライバーがアプリを介してタイヤ交換を申し込んだ場合のみ、料金の15%の手数料を支払う。一般にタイヤ交換料金は1台3000円程度であり、手数料といえども微々たるものだ。そんなアプリを開発した狙いを、堀内信代表取締役社長はこう語る。
「『交換タイヤ』が広まれば、ドライバーは安全なタイヤを利用できて交通事故の防止につながります。事業者は、整備士の残業を減らして労働環境を改善させられます。物流会社は、物流の効率化によるCO2排出削減が期待できます。そうしたさまざまな社会問題の解決につなげられると考えています」
サステナブルな物流の実現を目指して、顧客、荷主、物流会社が「三方良し」のプラットフォームを開発する丸市倉庫の挑戦は、これからも続く。