人と人との対話から
ビジネスをつくっていく
「当社は大手商社と違い、ビジネスをフレームワークで行うのではなく、あくまでも人と人との対話からビジネスをつくっていく姿勢があります。現在、北米・ヨーロッパ・アジアの地域、計10カ国に17拠点を構えており、その海外拠点を起点にビジネスを展開しています。会社の規模に対して海外駐在員の割合が高く(全営業社員の約20%)、社員はグローバルに活躍できる機会がたくさんあります。現在はコロナ禍で移動が制限されていますが、基本的にお客さまの求めがあれば、海外出張にもどんどん行かせています」と、新谷社長は社員のグローバルでの活躍を奨励する。
同社は自己資本比率が約70%と高く、実質的な無借金経営を続けており、その強固な財務基盤が、積極的なグローバル展開を支えている。東証1部上場は2013年で、上場以来7期連続で増益を重ねてきた。海外拠点や各事業部内での成長を推し進める一方で、近年は新規事業の開拓にも注力している。
社員の成長の総和が
三洋貿易の成長
「商社は社員が命であることから、新規の事業とともに、人財の育成にも力を入れています」と新谷社長が語る。
新入社員は入社後、社内で基礎知識の研修を行い、新入社員向けの外部研修にも参加する。若手総合職の希望者を対象に、中国・タイ・ベトナムなどの拠点で行う1年間の派遣型の海外研修生制度があり、さらにニューヨークでの3カ月間の短期語学研修もある。
老舗の専門商社でありながら、若手のうちから活躍できるのが特徴で、30代で現地法人社長を任される社員もいる。また女性の活躍を推進しており、自分が望むキャリアに合った働き方を選択できる。過去3年の新卒定着率は100%、産休・育休からの復職率も過去5年間で93%を誇る。
「とにかく社員が活躍できる“機会”を数多く設けています。そこはどの商社に比べても負けない部分であると自負しています。国内海外を問わず、社員に活躍する場を与えて成長してもらう。それぞれの社員の成長の総和が、三洋貿易の成長につながるからです」(新谷社長)
同社のスローガンは「最適解への挑戦」。顧客にとっての最適解を見つけることを意味しているが、同時にその挑戦は社内での基軸にもなっている。社員には、既存の知識やリソースにとどまらず、新たな分野や技術など柔軟に発想を広げていくことが求められているのだ。
企業理念として「堅実と進取の精神」を掲げる三洋貿易。長い歴史の中で培われた堅実と進取のバランスは絶妙で、それが自由闊達な社風を醸成している。