日本でも「Visaのタッチ決済」の導入が拡大
全ての決済が一つのカードで可能になる

 Visaが今、キャッシュレス決済の方法の中でも最も力を入れているものの一つが、タッチ決済である。タッチ決済とは、対応マークのあるリーダーに非接触対応のVisaカード、スマートフォン、ウエアラブル・デバイス等をかざすだけで、サインも暗証番号も不要で支払いが完了する*1決済方法のこと。決済時間は約8秒で現金の約半分、世界約200の国と地域のVisa加盟店での利用が可能で、世界基準のセキュリティ技術を活用しているため、安心して利用することができる。

「すでに世界ではVisaのタッチ決済が広く普及していて、米国を除く全世界でVisaの対面決済の3分の2はタッチ決済になっています。ヨーロッパでは80%以上、アジア太平洋地域でも50%がタッチ決済になっており、特にオーストラリア、ニュージーランドでは95%を超えています。もはや世界では、当たり前の決済手段となっているのです」 

 日本でも、Visaのタッチ決済は急速に伸びつつある。21年9月末の時点で、Visaのタッチ決済対応カードの発行枚数は5700万枚に達し、対応する端末設置台数も20年6月からの1年間で約2倍となっている。オーストラリアとニュージーランドも、当初から普及率が高かったわけではない。消費者の意識と加盟店のインフラが整い、ティッピングポイント(Tipping point=転換点)を超えて一気に普及したのだ。日本も今、同じ軌道にあるという。

グローバル決済ネットワークが日本のキャッシュレス社会を加速する

 Visaの調査(The Visa Back to Business Study 2021 Outlook)によれば、店舗での安全な決済として、約半数の49%の消費者が、カードを第三者に渡さないタッチ決済を希望、また47%の消費者が「タッチ決済の利用できない店では買い物をしたくない」と回答している。タッチ決済利用への消費者の意識は確実に高まっているのだ。

 一方、加盟店側としては、タッチ決済導入によって、レジでの処理スピードが上がり、現金取り扱いの負担が軽減し、売り上げが増加するなどのメリットが挙げられている。今Visaのタッチ決済は、スーパー、コンビニエンスストア、ファストフードレストラン、ドラッグストア、百貨店や商業施設などに加え、鉄道やバスなどの公共交通機関*2への導入も始まっている。

「世界の公共交通機関では、Visaのタッチ決済の導入が拡大していて、すでにロンドンやシンガポール、ニューヨークなどを含む450以上の公共交通機関で導入済みで、乗客にとってシームレスかつストレスのない移動を提供しています。長期的な話になりますが、当社では、日本国内における交通システムの全てをカバーしたいと考えています。そうなれば、世界から日本を訪れる人たちも国の隅々まで公共交通機関を使えるようになり、利便性が高まります」 

 日本ではタッチ決済というと、交通系カード(フェリカ)がよく使われているイメージがある。その中で、Visaのタッチ決済の優位性はどのような点にあるのだろうか。

「交通系カードでタッチ決済に慣れるというのは、いい点だと思います。一方、Visaのタッチ決済の強みは、どこでも使える=日本国内に限らず海外でもシームレスに使える、ということになります。同じカードで、店舗での買い物や交通機関での移動をはじめ、Eコマースなど電子商取引でも使えます。海外に行く場合は、現地での食事やショッピングや移動に利用でき、高額な航空券を購入することもできます。国境を超え、すべての決済が一つのカードで可能になるのが大きなメリットです」

*1 一定金額を超える支払いは、カードを挿し暗証番号を入力するか、サインが必要となる。 
*2 茨城交通、岩手県北バス、福島交通、会津バス、京都丹後鉄道、北都交通、長電バス、京福バス、南海電鉄、福岡市交通局(地下鉄)、横浜市交通局(バス)、南海りんかんバス、とみおかーと(導入あるいは実証実験開始発表順・2021年11月末時点)