より深く顧客と結び付き、ビジネスをtoCにも広げるためのDX化
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DXと多角化も鋭意推進している。一つは企業理念にある“予防に対する意識改革”との関連だ。「人生100年時代」が到来するといわれている中、その長い年月の間ずっと健やかに過ごせるよう、顧客さま一人一人に寄り添って体を継続的にサポートしたいと意気込む。
例えば、同社には月2回店舗に通う顧客が多いが、実は残りの28日をどう過ごすかは非常に重要だ。今後の展望としては、「KA・RA・DA 365プロジェクト」で、スマートフォンの専用アプリを使い1年を通じた顧客の自宅での朝昼晩の過ごし方のサポートを進めていく。
起床後はアプリの指示で軽い運動とプライベートブランドのサプリメント摂取、お昼は仕事の合間に3分ストレッチ、夜はお風呂上がりの体操とサプリメント摂取といった具合だ。独自に開発したサポートチェアクッション「座善」、「寝ながら骨格サポートまくらEX.」などセルフケアグッズも用意している。
顧客が店舗に来た日は整体師がコンディションを確認し体の骨格バランスをケア。リアルと遠隔のトータルで顧客の体をケアし、より深く顧客と結び付いていく。もし「予防」につながれば国が推進する未病の改善という概念とも合致する。顧客が病気にならないのはもちろん、予防の拡大で国の医療費も削減できる。
タブレット1台で2~3分で姿勢分析ができるAI姿勢分析システム「シセイカルテ」を導入し、体の左右のゆがみを可視化したデータを活用する。今後チャレンジする顧客のターゲットとしてはリピート率の高い40、50代女性にも照準を合わせるなどの新展開の施策も打つ。
電子カルテのデータを蓄積し、縦横に分析して活用するための投資も行う予定。同社にはすでに数万人の顧客データがある。これを健康経営に腐心する企業のサポートにつなげるのだ。「体を酷使したり、ストレス負荷がたまる職種において整体を頼りにしたりされているお客さまはたくさんいる。会社の福利厚生に使ってもらい、その企業の離職率改善や採用に生かしてもらえれば」と語る。BtoCのみならず、toBにも広くアピールし、社会貢献を進める。
そして、さらにその目は遠く世界を向いている。現在五つの国と地域にも事業展開している。台湾が好調で15店舗目、タイ4店舗、フィリピン19店舗、インドネシア4店舗、上海3店舗、合計45店舗。これを倍にする計画だ。
「各国・地域ともタイ古式、足裏マッサージ、鍼灸など、固有のマッサージ文化があるが、日本の整体に当たるものはなく、A.P.バランス®という骨格と骨盤に特化した技術は十分に競争力があります」。整体師や店舗などのおもてなし、サービスレベルは世界でも超一流だと認識されている。理解者やリピーターも徐々に増えているという。
「創業20年は記念すべきことですが、人間ならやっと成人したばかり。整体を含めたリラクゼーション業界でリーディングカンパニーとしてトップを目指し、健康、予防、人財育成、世界への貢献など、企業理念を実現していきたい。すべきことは山のようにある。これからがようやく本番です」と決意を述べた。
株式会社ファクトリージャパングループ 代表取締役会長兼社長(CEO)
1964年北海道生まれ。83年ソシエ・ワールドに新卒入社。技術職を経て、取締役営業本部長(スパ事業、エステ事業、スポーツ事 業、アイラッシュ事業、ヘアー事業)を務め、15年6月にソシエ・ワールド代表取締役社長、19年10月ソシエ・ワール ド取締役会長就任。20年3月31日退任。20年4月1日より現職。