ソレイジア・ファーマは、がん領域の新薬開発と中国を軸とした国際展開に特化した医薬ベンチャーだ。「がん新薬の開発」と「中国市場の開拓」という誰もが困難と判断するような分野に積極果敢に取り組み、躍進し続けている。その理由や今後の展開などを聞いた。

がん新薬の開発と中国市場開拓。「2つの壁」を乗り越えた医薬ベンチャー成功の原動力ソレイジア・ファーマ代表取締役社長の荒井好裕氏(右)、開発本部長 グローバル臨床開発部長の永濵文子氏(左)

 がん領域に特化して「患者さんの明るい未来のために、より良い医薬品を提供する」のが、ソレイジア・ファーマだ。

 同社は、新薬研究を一から始める「創薬ベンチャー」ではない。国内外のアカデミアや創薬ベンチャー企業などから有望な新薬候補品の権利を取得し、臨床開発に注力する。

成功確率を高めるビジネスモデル

がん新薬の開発と中国市場開拓。「2つの壁」を乗り越えた医薬ベンチャー成功の原動力 ソレイジア・ファーマ
代表取締役社長
荒井好裕氏

 その理由を代表取締役社長の荒井好裕氏は次のように語る。

「通常、創薬は特殊な技術や研究成果を蓄積している大学や企業が、新たな技術や創薬の種をもとにスタートさせます。蓄積のない当社が一からスタートさせるのは難しい。それに創薬開発に着手して、実際に世に出すまでには長い時間と莫大なお金がかかります。しかも、販売にこぎ着けられる確率は約3万分の1。でも、当社のビジネスモデルなら、臨床開発前後ぐらいから始めることで販売に至る確率を10分の1程度にまで向上させ、限られたリソースを有効に使うことができます」

 社名の「ソレイジア(SOLASIA)」は、ラテン語のSOL(太陽)とアジア地域のASIAに由来する。その名の通り、主にアジアを中心に事業を展開しており、最も力を入れているのは中国だ。

「世界の2019年の医薬品市場の売り上げは、1位が米国、2位が中国、日本は3位ですが、中国市場は急激に伸びており、いずれ米国を抜くと予想されています。非常に魅力的な巨大市場ですが、商習慣や薬事規制などが独特で、手が出しにくいところがありました。しかし17年には中国も、ICH(医薬品規制調和国際会議)に参加し、国際共同治験もできるようになるなど、医薬品開発の分野では開放が進んでいます。国が認め、こうと決めたら一気に改革が達成される。そのあたり、日本はとてもかないません」(荒井氏)

 荒井氏は、新薬の開発状況についても解説。

「これまでに世に送り出した販売製品は二つ。これに次ぐ承認申請中の抗がん剤が一つ、その他開発パイプライン(新薬候補)に挙がっている抗がん剤もあり、さらには日本の創薬ベンチャー企業との協業で全く新しいモダリティー(創薬手法)の治療薬の研究開発にも着手し、『世界製品』にするべく事業を展開しています」