医療機器流通のトップ企業、シップヘルスケアホールディングス。現在の売上高は5000億円規模。創業から29年間一貫して医療現場に貢献し、29年間右肩上がりで成長を続ける同社の勢いは、衰えない。その理由を、同社代表取締役会長の古川國久氏と社長の大橋太氏に聞いた。

大阪重粒子線センターの加速器室(シンクロトロン)

 SHIPは、社名でもあるが、実は経営理念を示したものでもある。

 Sincere(誠実な心)、Humanity(「情」の心)、Innovation(革新者の気概)、PartnerSHIP(パートナーシップ精神)という4つの言葉の頭文字から成る。

 同社はこれらの理念を「羅針盤」として、文字通り「船」のごとく、荒波を乗り越え、今日の成長まで大航海を続けてきた。

シップヘルスケアホールディングス代表取締役会長の古川國久氏(左)と、代表取締役社長の大橋 太氏(右)

 そもそも、この理念は机上で作られた軽いものではない。代表取締役会長の古川國久氏ら創業メンバーの膨大な体験とエピソードから導き出された、行動と判断の「よりどころ」なのである。

原点となるのはTPP事業

 同社は現在5つの事業領域を展開している。その原点となるのが「トータルパックプロデュース(TPP)事業」だ。病院の新設や移転・増改築などの際に、総合的なサービスを提供する。これは古川氏が前職時代に、医療現場で使われる什器の修理請負を通して現場のニーズを直接聞き出し、解決することで開拓した独自の事業領域だ。

「新設や建て替えの際には、病院の職員だけでは分からないことが多々あります。従来は調達するものによってそれぞれの会社に相談していたところを、全ての領域を一括で請け負うのがTPPです。お客さまも助かりますが、弊社にとっても、お客さまのお役に立ちながらニーズや課題を聞き出すことができ、対応を通して富士山の裾野のように事業展開が可能になる。これが弊社の『強み』です」と、代表取締役社長の大橋太氏は説明する。