金融犯罪対策の第一人者として
業界に貢献したい

 今回のPoCでは、三菱UFJ銀行から受領した半年分の取引データ(顧客情報はマスク化)を前半と後半に分け、前半のデータで学習、後半のデータで不正か正常かを分類させた。

 その結果、不正取引の検知率94%という非常に高い水準を達成したのだ。人間が考えたルールに基づく不正の検知率は50%前後が一般的で、AIによる不正検知率でも高くて70%台だという。小森氏によれば、94%という数値はラックとしても想定以上の結果だった。

 三菱UFJ銀行の大塚氏は、「今回のPoCでは、特殊詐欺に対するAIの有効性を確認できたと思っています。AIは人間が気付きにくい取引の動きを細やかに捉えることができるため、お客さまへの影響を抑えつつ、詐欺被害の未然防止に役立てられると感じました」と評価する。

 ラックでは次のフェーズとして、実用化に向けたアプローチを行う予定だ。金融犯罪は分業化され、手口も更に巧妙化している。それに対応するには犯罪者側の視点を理解する深い知見と、金融犯罪に特化した最先端のAI技術が必要なのだ。

 小森氏は、「ラックやFC3の目標としては、金融犯罪をゼロにしたい、そこに向けた貢献をしたいという思いが強くあります。今後は銀行さまをはじめ、困りごとを抱えるさまざまな金融機関とタイアップしながら、犯罪者が容易に不正取引できない世界を実現したいと考えています」と決意を語る。金融犯罪対策の第一人者として業界に貢献していく考えだ。

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