本当に必要な「老後資金」はいくらかを計算する方法を
伝授! 年収や納付期間による年金の見込み額や、もら
える年金の増やし方、足りない資金の貯め方も解説!

2022年1月26日公開(2022年1月26日更新)
頼藤 太希
つみたてNISAのおすすめ証券会社はココ!

 「年金はいくらもらえるの?」
「老後資金はいくら必要なの?」
「老後資金はどうやって用意すればいいの?」

 上記のような老後資金に関することは、老若男女問わず、誰もが抱える心配事になっています。そこで今回は、公的年金制度の仕組みや、用意すべき老後資金の考え方を解説。受け取れる公的年金の額を増やす方法と、それと合わせて活用したい「つみたてNISA」と「iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)」についても紹介します。
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本当に用意すべき老後資金は
「老後の収入−老後の支出」で足りない金額!

 2019年6月に公表された金融庁の報告書によって「老後資金2000万円不足問題」が話題になったことを覚えている方も多いでしょう。この報告書では、2017年の総務省「家計調査報告」の数字をもとにして、高齢夫婦無職世帯(夫65歳・妻60歳の夫婦のみの無職世帯)が平均的な生活を送ろうとすると、実収入と実支出(非消費支出と消費支出の合計)の差が毎月約5.5万円の赤字になると説明。これが30年続くと、老後資金が約2000万円不足すると解説していました。
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 しかし、これはあくまで統計上の数字です。例えば、家計調査報告の住居費には持ち家の人が含まれているので、金額が少なめになっています。住宅ローンの返済が終わっていない家庭も含まれていますが、住宅ローン返済費はこの住居費には含まれていません。家計調査報告では、住宅ローン返済費は消費支出とは捉えてないからです。

 つまり、賃貸住まいの世帯や住宅ローンを借りている世帯は、もっとお金が必要になるということです。また、その他の費用も、世帯によっては多くかかっている、少なく済んでいるなど、バラバラのはずです。

 また、2018年以降の家計調査では、年々、実収入と実支出の差が縮小しています。2020年の家計調査では、実収入25万7763円に対して実支出25万9304円となっており、赤字はわずかに1541円に縮小しています。これが30年間続くと、不足する金額はわずかに約55万円ですから、老後資金問題が解決してしまうようにも感じます。もっとも、2020年は新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、1人10万円の特別定額給付金が支払われたり、外出自粛などによって支出が減ったりした、特殊な要因のある年でした。

 つまり、こうした統計からは、本当に用意すべき老後資金の金額はわからない、ということを押さえておきましょう。

 本当に用意すべき老後資金の金額は、「老後の収入−老後の支出」で計算して、足りない分の金額です。といっても、老後の支出がいくらになるかなど想像つかない方が大半でしょう。一般的に、老後の支出は現役時代の6〜7割といわれています。ですから、ここでは現在の生活費の7割と見積もっておきましょう。なお、もし「毎月の支出がよくわからない」という状態ならば要注意。1カ月分の預貯金の履歴・買い物のレシート・クレジットカードの明細をチェックし、1000円単位など大まかでもいいので集計してみましょう。その金額の7割が、毎月の老後の支出の目安となります。

 さらに、老後の生活費の支出とは別に医療費や介護費を用意しておきたいところ。家計調査には、こうしたもしもに備えるお金が用意されていません。目安としては1人300万円〜500万円程度となります。

老後の収入は「公的年金+企業年金」が基本

 一方、老後の収入の大きな柱となるのは、公的年金です。日本の公的年金には、20歳から60歳までのすべての人が加入する国民年金と、会社員や公務員が勤務先を通じて加入する厚生年金の2つがあります。

 会社員や公務員の場合、毎月の給料から厚生年金保険料が天引きされています。これには、国民年金保険料が含まれています。そのため、老後を迎えた際には国民年金・厚生年金の両方から老齢年金が受け取れます。

 一方、個人事業主やフリーランス、専業主婦(夫)などの方々は、厚生年金に加入していませんので、老齢年金は国民年金のみとなります。

 なお、国民年金から受け取る老齢年金を「老齢基礎年金」、厚生年金から受け取る老齢年金を「老齢厚生年金」といいます。

 老齢基礎年金は、原則として20歳〜60歳までの40年間(480カ月)国民年金保険料を支払うことで満額受け取れます。40年分納めた場合、受け取れる金額は78万900円(2021年度)です。なお、国民年金保険料の未納の期間があると、その分、受け取れる金額が減ります。

 一方、老齢厚生年金の金額は平均年収や加入月数によって異なり、おおよそ「平均年収÷12×5.481/1000×加入月数」という式で計算します。一般に、年収が高いほど納める保険料が高くなり、将来受け取れる年金額も高くなります。

 公的年金の正確な金額は、「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」で確認しましょう。ねんきん定期便は、毎年誕生日ごろに郵送で届く書類です。50歳以上の人の場合、ねんきん定期便には「60歳までこのまま加入を続けた場合に65歳から受け取れる年金の見込み額」が記載されています。これを見れば、おおよその年金の額がわかります。

 一方、50歳未満の人の場合、ねんきん定期便には「現時点で受け取った場合の金額」しか書かれていません。これでは、特に若い方は金額が少なすぎて、参考にならないでしょう。そこで利用したいのが日本年金機構のウェブサイトであるねんきんネットねんきんネットにログインすれば、今後の年金額のシミュレーションが簡単にできます。スマホやパソコンなどでいつでも情報を確認できるので便利です。

 ここでは簡単に、平均年収・厚生年金加入期間別の公的年金の金額を表にしました。

23歳から厚生年金に加入した場合の将来の年金額の目安

厚生年金
加入期間
5年 10年 15年 20年 25年 30年 35年 40年 43年
年齢 27歳 32歳 37歳 42歳 47歳 52歳 57歳 62歳 65歳



200万円 83.7万円 89.3万円 94.9万円 100.5万円 106.0万円 111.6万円 117.2万円 122.8万円 126.2万円
300万円 86.6万円 95.2万円 103.7万円 112.3万円 120.8万円 129.4万円 137.9万円 146.5万円 151.6万円
400万円 89.3万円 100.5万円 111.6万円 122.8万円 134.0万円 145.2万円 156.4万円 167.5万円 174.2万円
500万円 91.6万円 105.1万円 118.5万円 132.0万円 145.5万円 159.0万円 172.5万円 186.0万円 194.0万円
600万円 94.5万円 111.0万円 127.4万円 143.9万円 160.3万円 176.7万円 193.2万円 209.6万円 219.5万円
700万円 97.5万円 116.9万円 136.3万円 155.7万円 175.1万円 194.5万円 213.9万円 233.3万円 245.0万円
762万円以上 99.5万円 120.8万円 142.2万円 163.6万円 185.0万円 206.3万円 227.7万円 249.1万円 261.9万円

※国民年金満額(78万900円)と厚生年金額の目安 ※65歳未満の金額は65歳時点での受給金額を表示

 上の表の縦軸は平均年収、横軸は厚生年金の加入期間です。国民年金については40年間保険料を支払い、満額受け取れるものとします。この場合の公的年金額の合計を表に記載しています。

 例えば、平均年収300万円・400万円・500万円の方が、40年間厚生年金に加入した場合で比べてみましょう。もらえる年金額は、次のように変わります。

・平均年収300万円で40年加入……公的年金 年間約146.5万円(月額約12.2万円)
・平均年収400万円で40年加入……公的年金 年間約167.5万円(月額約14.0万円)
・平均年収500万円で40年加入……公的年金 年間約186.0万円(月額約15.5万円)

 また、人によっては勤務先で企業年金に加入している場合もあります。企業年金の金額は、ここには含まれていませんので、その金額を加算しましょう。加入している企業年金の種類や金額は、勤務先の人事・総務など、所管部署に確認してみましょう。

公的年金が少ない場合はどうしたらいい?

 このように、老後の収入と支出を試算してみた結果、老後の収入とくらべて老後の支出のほうがずっと少ないという人はいいのですが、実際には「老後資金が足りない」という人がほとんどではないかと思います。

 老後資金が足りない場合には、年金自体を増やす方法もあります。その代表は「長く働く+年金の繰下げ受給」です。

 国民年金は原則60歳までしか加入できませんが、厚生年金は70歳まで加入できます。つまり、60歳以降も長く働くことで、厚生年金の加入月数が増える、受け取れる厚生年金の金額も増えます。

 また年金は、原則65歳から受け取るしくみですが、受け取りを遅らせることもできます。これを繰下げ受給といいます。繰下げ受給では、年金の受け取りを1カ月遅らせるごとに年金額が0.7%ずつ増加。2022年4月以降は最長で75歳まで年金の受給を繰り下げることによって、年金額を84%も増やすことができるようになります。もちろん、繰り下げている期間は年金が受け取れないので、その間の生活費などを用意する必要はあります。しかし、働きながら年金を繰り下げることで、受け取れる年金額を増やすことができます。

65歳以降も働き受給を繰下げた場合の年金額の目安

厚生年金加入期間 43年 44年 45年 46年 47年 48年
年齢 65歳 66歳 67歳 68歳 69歳 70歳



200万円 126.2万円 138.0万円 150.0万円 162.2万円 174.5万円 187.1万円
300万円 151.6万円 166.2万円 181.1万円 196.3万円 211.7万円 227.4万円
400万円 174.2万円 191.3万円 208.7万円 226.6万円 244.7万円 263.3万円
500万円 194.0万円 213.3万円 232.9万円 253.1万円 273.7万円 294.7万円
600万円 219.5万円 241.5万円 264.1万円 287.2万円 310.8万円 335.0万円
700万円 245.0万円 269.7万円 295.2万円 321.3万円 348.0万円 375.4万円
762万円以上 261.9万円 288.6万円 315.9万円 344.0万円 372.8万円 402.3万円

70歳まで働き受給を繰下げた場合の年金額の目安

厚生年金加入期間 年金の繰り下げ
年齢 71歳 72歳 73歳 74歳 75歳



200万円 198.2万円 209.2万円 220.3万円 231.4万円 242.4万円
300万円 240.9万円 254.4万円 267.8万円 281.3万円 294.7万円
400万円 278.9万円 294.5万円 310.0万円 325.6万円 341.2万円
500万円 312.1万円 329.6万円 347.0万円 364.4万円 381.9万円
600万円 354.9万円 374.7万円 394.5万円 414.3万円 434.1万円
700万円 397.6万円 419.8万円 442.0万円 464.2万円 486.4万円
762万円以上 426.1万円 449.9万円 473.7万円 497.5万円 521.3万円

 上の2つの表は、65歳以降も厚生年金に加入して働き、年金を繰下げ受給した場合の、年金額(国民年金+厚生年金)の目安です。厚生年金に長く加入して繰り下げるごとに、年金額が増えていることがわかります。70歳以降は厚生年金には加入できなくなるので年金の繰下げだけになっていますが、それでも毎年受け取れる金額が増えています。

 表の赤色の部分は、年金を月20万円以上受け取れる目安です。年金の受給額の平均は月額約14.4万円なので、「長く働く+年金の繰下げ受給」で、平均を大きく超える金額が受け取れるようになることがわかります。

「つみたてNISA」や「iDeCo(イデコ)」も併用して
「じぶん年金」を作る!

 ここまでご紹介したように、公的年金を増やす手立てはあるのですが、年金制度が今後も変わらないという保証はありません。それに、「長く働く+年金の繰下げ受給」が将来、誰にでもできるかどうかもわかりません。

 そこで活用したいのが、「つみたてNISA」や「iDeCo(イデコ)」といった制度です。つみたてNISAやiDeCoを利用すれば、税金の優遇を受けながら効率よくお金を増やすことができます。
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 つみたてNISAは、年間投資上限額40万円までの投資で得られた利益を、最長20年間にわたって非課税にできる制度です。投資の利益には本来、20.315%の税金がかかります。しかし、つみたてNISAならばこの税金がゼロになるので、利益が出たら出た分だけ、ちゃんと受け取ることができます。

 つみたてNISAでは、金融庁の条件をクリアした、長期で資産が増やせると見込まれる商品に積立投資を行います。長期間、コツコツと投資を続けることで、増えたお金がさらなるお金を生む複利効果も期待もできます。

 SBI証券楽天証券などの大手ネット証券では月々100円から積み立てができ、イオン銀行などその他の金融機関でも1000円程度から始められる手軽さも魅力です。つみたてNISAは、万が一、お金が必要になったときもすぐにお金を引き出すことができます。これまで投資をしたことのない方でも、投資をスタートさせるのにぴったりの制度です。
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 また、iDeCo(イデコ)は、自分で掛金を払って投資信託などで運用して、老後資金を積み立てて作る制度です。毎月5000円から利用可能で、上限額は加入している国民年金の種類や企業年金の有無により異なります。iDeCo(イデコ)では、掛金が全額所得控除できるため、所得税や住民税の負担を軽減できます。その上、つみたてNISA同様に運用益が非課税になり、受け取るときにも税金の負担を減らせます。

 iDeCo(イデコ)は、つみたてNISAよりも税制優遇が強力なのですが、60歳までは原則引き出せません。これは確実に老後資金を貯めるためのメリットとも考えられますが、収入がまだ少ないときにスタートするのは心配な方もいるかもしれません。その場合は、まずつみたてNISAを優先し、つみたてNISAがしっかり上限額(年40万円)までできるようになってから、iDeCo(イデコ)に取り組むのがいいでしょう。
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 長く働く、繰下げ受給するといった、年金を増やす手立てを活用するとともに、なるべく早く、つみたてNISAやiDeCo(イデコ)を利用して、今から少しずつ「じぶん年金」を積み立てていきましょう!
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頼藤太希(よりふじ・たいき)[マネーコンサルタント]
(株)Money&You代表取締役。中央大学客員講師。ファイナンシャルプランナー(AFP)。日本証券アナリスト協会検定会員。慶應義塾大学経済学部卒業後、外資系生保にて資産運用リスク管理業務に従事。2015年に(株)Money&Youを創業し、現職。女性向けWEBメディア「FP Cafe」や「Mocha(モカ)」を運営。著書は『そのままやるだけ!お金超入門』『はじめての資産運用』『はじめてのNISA&iDeCo』など多数。twitter→@yorifujitaiki
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