「NISA(ニーサ・少額投資非課税制度)」は、投資で得られた利益が非課税になる制度です。「一般NISA」「つみたてNISA」「ジュニアNISA」の3種類があり、それぞれ、1年間に投資できる金額の上限や、投資できる金融商品、制度を利用できる人などが異なります。
このうち、「ジュニアNISA」は2023年をもって終了することになっています。というと、「ジュニアNISA」はもう使えないように思われるかもしれませんが、実は、このところ利用者が増加しているのです。それはどうしてでしょうか。
今回は、「ジュニアNISA」の制度が今後どうなるのか、そして知っていると得する「賢い活用方法」を解説します。
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「ジュニアNISA」の基本を解説!
年80万円まで投資ができて利益が非課税に
「ジュニアNISA」は、日本に住む0歳から19歳までの未成年者が利用できる非課税投資制度です。
◆「ジュニアNISA」の基本(現行の制度の場合) | |||
利用できる人 | 日本に住む0歳〜19歳の人(成人年齢引き下げのため2023年は0歳〜17歳) | ||
新規に投資できる期間 | 8年間(2016年~2023年) | ||
非課税となる期間 | 投資した年から最長5年間 | ||
年間投資上限額 | 80万円 | ||
投資対象商品 | 上場株式・投資信託・ETF・REIT | ||
投資方法 | 一括買付・積み立て | ||
投資商品の売却 | 売却可能。売却代金は「払い出し制限付き課税口座」へ入る | ||
資産の引き出し | 「払い出し制限付き課税口座」の資産も含めて、18歳になるまで引き出し不可 |
投資の利益には通常20.315%の税金がかかります。しかし、ジュニアNISAの口座を利用して投資した場合、年80万円までの投資で得られた利益が最長5年間にわたって非課税になります。もっとも、未成年の子どもが自分で投資を行うわけではありません。株式や投資信託などの運用や口座の管理は、原則として親や祖父母といった親権者が行います。
注意したいのが、資産の引き出しについてです。ジュニアNISA口座(「払い出し制限付き課税口座」を含む)の資産は、原則として18歳より前に引き出すことができません。同じNISAでも、「一般NISA」や「つみたてNISA」の資産は自由に引き出せますが、2022年時点のジュニアNISAではお金を自由に引き出せないのです。親や祖父母が投資に必要な資金を出して、「子や孫の進学や就職といった将来のために資産形成をしよう」というのが制度の趣旨だからです。
しかし、この「お金を自由に引き出せない」という仕組みが一因で、ジュニアNISAの利用者数が伸び悩むことになったと言われています。そして、利用者数が少なかったため、2023年をもってジュニアNISAの制度は終了することになりました。
「ジュニアNISA」は制度終了後の方が
グンと使いやすくなる!
「ジュニアNISA」の制度は2023年をもって終了するため、2024年以降、ジュニアNISA口座で新たに投資(新たに株や金融商品などを購入すること)をすることはできません。しかし、ジュニアNISAの制度は終了後に一部変更がなされます。
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◆2024年以降の「ジュニアNISA」(新規の投資は不可) | |||
利用できる人 | 2023年までに利用していた人の継続のみ | ||
新規に投資できる期間 | 2024年以降、新規の投資は不可 | ||
非課税となる期間 | 18歳になるまで非課税で保有可能(要ロールオーバー) | ||
投資商品の売却 | 売却可能。売却代金は「払い出し制限付き課税口座」へ入る | ||
資産の引き出し | 2024年以降いつでも引き出し可能(ただし全額引き出す必要あり) |
2024年以降、ジュニアNISAで新たな投資はできなくなります。しかし、注目したいのは、2023年までにジュニアNISAで投資した資産の引き出しについてです。ジュニアNISAの制度が終了した2024年以降は、18歳までの引き出し制限が解除されます。これによって、2023年までにジュニアNISAで投資した資産は、子どもが18歳になっていなくても、いつでも引き出せるようになる予定です。
また、2023年までに投資した資産は、ジュニアNISAの制度廃止後も、子どもが18歳になるまで(厳密には、1月1日時点で18歳である年の前年12月31日まで)非課税で運用できます。18歳になるまで非課税で運用するには、2024年以降、5年の非課税期間が終了した商品を継続管理勘定に移す「ロールオーバー」という手続きが必要です。継続管理勘定では、新たな投資はできませんが、非課税で運用を続けることができ、売却はいつでも可能です。ただし、資産を引き出す場合は、ジュニアNISA口座、継続管理勘定、売却代金の入っている「払い出し制限付き課税口座」のすべてから全額を引き出す必要があります。そして口座は廃止になります。
ジュニアNISAがスタートしたのは2016年、終了が決まったのは2019年12月のことでした。制度終了決定前後のジュニアNISAの口座開設件数を見てみると、
・2019年6月末時点→32万8982口座
・2020年6月末時点→38万3073口座
・2021年6月末時点→56万9639口座
(以上金融庁「NISA・ジュニアNISA利用状況調査」より)
となっています。ジュニアNISAの利用者は「終了決定後」に増加していることがわかります。これはやはり「お金が18歳まで引き出せない」というデメリットが制度終了によって解消されることを踏まえて人気が高まっているからに他ならないでしょう。
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成人年齢の引き下げで
「NISA」の利用年齢も引き下げられる
2022年4月に、成人年齢が20歳から18歳に引き下げられます。18歳から親の同意がなくてもさまざまな契約ができるようになる、女性の結婚年齢も18歳からになる、ただし飲酒やタバコは20歳からのまま……などとニュースでもよく報じられていますね。
「NISA」についても成人年齢の引き下げによって、利用できる人の年齢条件が変わります。「ジュニアNISA」は0歳〜17歳(18歳になるまで)利用可能、「一般NISA」「つみたてNISA」は18歳から利用可能になります。
ただし、一般NISA・つみたてNISAの口座開設は、「口座を開設する年の1月1日時点で18歳を迎えている人」という条件が2023年より適用されるため、2022年1月時点で18歳・19歳の人が一般NISA・つみたてNISAの口座を開設できるのは2023年以降となります。
また、2022年4月からは、高校の家庭科の授業で資産形成の指導が始まります。授業では、株式・債券・投資信託といった金融商品の基礎知識や将来の家計管理について扱うそうです。
これまで日本では、子どもの頃にお金の知識をほとんど教わらないままに大人になる人がほとんどでした。大人になってお金の問題に直面して苦労した経験のある人も少なくないでしょう。学校でお金の知識を教わることで、そうした問題を回避できるかもしれないという点では「一歩前進」と言えそうです。
しかし、学校で教わるのを待っているだけでは、お金の知識もなかなか身についていきません。これからは、学校でのお金の教育を一つのきっかけとして、ご家庭でもお金の知識を伝えていくことが大切だと考えます。そのために「ジュニアNISA」の口座を開設しておくのもいいかもしれません。。
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改正後を見据えた
「ジュニアNISA」の賢い活用法
「NISA」には「一般NISA」「つみたてNISA」「ジュニアNISA」の3つの制度があることをお話ししました。このうち、開設できる口座は1人につき一つだけです。
しかし、ジュニアNISAの口座は子ども名義の口座です。したがって、自分のNISA口座と子どものジュニアNISA口座を用意することで、年間の非課税投資額の合計を増やすことができます。
年間の非課税投資額の上限は、一般NISAが120万円(2024年からの新NISAは122万円)、つみたてNISAが40万円、ジュニアNISAが80万円です。
例えば、夫婦でつみたてNISAを活用している場合、年間の非課税投資額は夫婦二人で合計80万円までですが、子どものジュニアNISA口座を開設すれば合計160万円まで非課税で投資できるようになります。子どもが2人なら合計240万円……というように、子どもが多いほど非課税投資額の合計を増やすことが可能です。
また、つみたてNISAでは金融庁の一定の基準を満たした投資信託・ETFしか購入できませんが、ジュニアNISAならばより多くの投資信託などを購入できますし、株式投資もできます。ジュニアNISAを活用することで、運用の幅を広げられるでしょう。
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ジュニアNISAで新規に投資できるのは2023年までですから、2022年からジュニアNISAを利用すると、2年間で最大で160万円まで非課税で投資できることになります。ただし、ジュニアNISAの非課税投資枠は翌年に持ち越すことはできません。
つまり、なるべく多く非課税で投資したいのであれば、自分のつみたてNISA(または、一般NISA)で投資をしつつ、2022~2023年の2年間は、ジュニアNISAでも投資を行うのがいいでしょう。
ジュニアNISAの資産は制度終了後もなるべくそのまま保有を続け、子どもが18歳になるまで運用を続けるのがおすすめです。長く投資を続けるほど、複利の効果を生かして堅実に増やせると考えられるからです。継続管理勘定に入れた資産を18歳になるまで保有し続けた場合、最終的には資産は課税口座(一般口座または特定口座)に払い出すか、新NISA口座(2024年から一般NISAに変わって始まる制度)に移管するかを選ぶことができます。
子どもに、「お金を増やしたければ資産運用が欠かせない」ことを伝えるのにも役立ちそうです。
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もちろん、教育資金などのために途中で引き出すこともありえます。2024年以降はいつでも引き出せますから、例えば中学や高校の受験・進学、留学費用などのためにもジュニアNISAのお金を使いやすくなります。年80万円の上限まで投資しないという人でも、ジュニアNISAを活用することで、生活するためのお金と子どもの教育費を取り分けて別にしておくのもいいでしょう。うっかり使ってしまうことも防げそうです。
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なお、原則として年間110万円までであれば「暦年贈与」といって、贈与税がかかりません。ジュニアNISAは1人あたり年80万円までですので、ジュニアNISAだけであれば贈与税はかからないでしょう。
「子どもにもっと多くのお金を贈与したい」という場合は、贈与の特例を活用するのがおすすめです。「教育資金の一括贈与」ならば30歳未満の孫や子に1人あたり最大1500万円まで非課税で贈与できます(2023年3月31日まで)。お金の使い道が教育資金に限定されますが、子どもに早い時期からまとまった教育費がかけられるようになります。
2023年をもって終了するジュニアNISAの制度ですが、終了後、引き出し制限がなくなることでかえって注目を集めています。特に資金に余裕があってたくさん投資をしたいならば、2023年までの2年限定ではありますがジュニアNISAも活用して、非課税投資額を増やしていくのがいいでしょう。
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(株)Money&You代表取締役。中央大学客員講師。ファイナンシャルプランナー(AFP)。日本証券アナリスト協会検定会員。慶應義塾大学経済学部卒業後、外資系生保にて資産運用リスク管理業務に従事。2015年に(株)Money&Youを創業し、現職。女性向けWEBメディア「FP Cafe」や「Mocha(モカ)」を運営。著書は『そのままやるだけ!お金超入門』『はじめての資産運用』『はじめてのNISA&iDeCo』など多数。twitter→@yorifujitaiki
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【2024年11月4日時点】 2024年にスタートした新制度を解説! 「新NISA」の取扱商品や売買手数料を徹底比較! ※表内のデータは、情報更新時に公表されている「新NISA」の情報をまとめたものです。 |
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投資信託 | 株式売買手数料(税込) | 投資信託 | ||
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150本 | 137〜2200円 (約定代金による) |
− | 540本 | − |
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※手数料などの情報は定期的に見直しを行っていますが、更新の関係で最新の情報と異なる場合があります。最新情報は各証券会社の公式サイトをご確認ください。売買手数料は、1回の注文が複数の約定に分かれた場合、同一日であれば約定代金を合算し、1回の注文として計算します。投資信託の取扱数は、各証券会社の投資信託の検索機能をもとに計測しており、実際の購入可能本数と異なる場合が場合があります。※1 年会費無料のクレジットカードの場合。※2 1約定ごとプランで約定金額240万円までの売買手数料。 |