SOTENは21年12月に発売されたが、すでにユーザーから大きな反響を得ている。1年間で1000台の販売を目標としていたが、発売からわずか1カ月で約600台もの注文を受けている。目標は前倒しで達成される見込みだ。

 ドローン物流などを実用化している長野県伊那市では、河川や施設などの管理にドローンの導入を検討しているが、セキュアで国内サポートが確実なSOTENの導入を検討している。また、木更津市消防本部では、もともと中国製ドローンを災害現場や火災現場で活用していたが、セキュア重視の流れを受け、SOTENの導入を前向きに検討している。

日本の悲願である国産ドローンが社会課題を解決、日本の技術が世界へと羽ばたく木更津市消防本部では、セキュアな国産ドローンとしてSOTENの導入を検討している

日本の技術を安全・安心に世界へ

 ACSLは国内だけにとどまらず、海外市場にも目を向けている。そのターゲットとなるのは新興国だ。

「日本のドローンを世界に誇れる産業にするため、グローバルにフィットできるようにしたいと考えています。新興国では有線電話より先に携帯電話が普及することが珍しくありませんが、同様に、道路を敷設するよりもドローン物流を先に導入したほうが合理的だという発想があり、実際にアフリカなどの地域ではその現象が起きています。新興国には、ドローンが爆発的に普及する可能性があるのです」

 ACSLは国際協力機構(JICA)のルワンダでのプロジェクトに参加し、ドローン物流を行っているが、まずはインドで本格的な事業の展開を見込んでおり、すでに販売許可を取得するための手続きを進めている。

 同社は海外展開することによって、日本のものづくりの技術をグローバルに広めたいという思いがある。しかし一方で、守るべきものがあると鷲谷氏は強調する。

「インフラ点検をする人がどのポイントを見ているかというノウハウは、実は日本が長年かけて蓄積してきた技術です。地震大国、災害大国の日本がレジリエント(強靭)なインフラを構築できているのは、ナレッジがあるからです。そのノウハウを撮影したデータが海外に流出してしまうことは、日本にとってリスクです。私たちは、ものづくりをしている人と現場のエンドユーザーの方たちの技術を守るために、こうしたドローンを開発しています。それを徹底し、日本のものづくりに貢献していきたいと考えています」

 安全・安心の国産ドローンが世界中を飛び回る日は、そう遠くない。

日本の悲願である国産ドローンが社会課題を解決、日本の技術が世界へと羽ばたく
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