2022年、創業25周年を迎えた株式会社スプリックス。同社は基幹事業の学習塾運営にとどまらず、ITコンテンツ事業、検定事業など教育関連の幅広いサービスを展開、総合教育カンパニーとして業界を牽引する存在となっている。激変する社会情勢の中でも、顧客のニーズを迅速に捉え、積極的に新たな事業・サービスを打ち出し続けているスプリックスを突き動かす原動力は何なのか。この度、書籍『成し遂げる力 ニーズからすべてを始める 総合教育企業スプリックスのNo.1ブランド戦略』を上梓した同社代表取締役社長の常石博之氏に話を聞いた。
雪深い新潟長岡で生まれた
「春を届ける」という信念
株式会社スプリックスは1997年に新潟県長岡市にて創業しました。これまで塾が当たり前のようにターゲットにしてきた上位層ではなく、学校の授業についていけずに成績が伸び悩んでいるミドル層の生徒に貢献したいという想いで、個別指導塾「森塾」第1号教室を開校したのが始まりです。
創業者の平石明は、当初から明確なビジョンを描いていました。それは、「教育を通して、世界中の人に人生の新たなステージ(春)を届ける」というものです。雪深い当地だからこそ、このように明確に言語化されたコーポレートビジョンが、信念として現在に至るまで当社の根幹を成しています。社名であるスプリックスも、春(spring)をモチーフとして名付けられました。
当社が展開する教育サービスは、スプリックスの名を冠さず各事業ごとにそれぞれの屋号で運営していますが、すべてのサービスにこのビジョンが通底しています。すべての事業を通じて、ビジョンを実現することがスプリックスの創業の理念なのです。
総合教育カンパニーとして
一人ひとりのニーズに応える
個別指導塾「森塾」から始まったスプリックス。前述のビジョン実現のため、現在次の5つの事業ドメインで付加価値の高い教育サービスを提供しています。
「森塾」以外にも、AIタブレットを活用した自立学習塾やオンライン個別指導塾、楽しく通えるダンス教室の『学習塾・教室事業』。業界トップシェアの個別指導塾専用テキストやプログラミングの力を育む教材サービス、AI技術を搭載したタブレット型教材などを開発・提供する『ITコンテンツ事業』。すべての学力の土台となる基礎学力を評価する国際検定や、プログラミングの能力を測定する検定などの『検定事業』。教員の授業準備を効率化するサイトや、学校のCBT導入を支援するパッケージ、教育機関の効率的な運営を支援するツールを提供する『教育基盤事業』。そして、学習塾運営と教育コンテンツ制作で培ったデータを基にした基礎学力の調査・研究や、IT人材を育成するための開発拠点運営を行う『調査・研究事業』。
顧客のニーズに応えるマーケットインの発想で、サービスを拡大し、総合教育カンパニーを自認するまでになりました。そして、そのことが今回の書籍の出版のきっかけでもあります。