他モードとの連携強化で物流をシームレス化する

 災害時だけでなく、平時における他の輸送モードとの連携強化も進んでいる。貨物駅の高度化による結節機能の向上により、「物流のシームレス化」を実現していく動きが始まっている。

 その一つが主要貨物駅構内で建設が進んでいる大型物流施設「レールゲート」。すでに東京貨物ターミナル駅(東京・品川区)に「東京レールゲートWEST」が稼働しているほか、今年7月には隣接地に「同EAST」が、同年5月には北海道の札幌貨物ターミナル駅内にも「DPL札幌レールゲート」が完成する。

 貨物駅の高度化を実現する大型物流施設「東京レールゲートWEST(左)」(稼働中)と「東京レールゲートEAST(右)」(2022年7月稼働予定)
日本貨物鉄道
五島洋次郎
鉄道ロジスティクス本部 総合物流部長

 鉄道ロジスティクス本部の五島洋次郎総合物流部長は「長距離幹線輸送に強みを持つ貨物駅の構内に、EC物流など都市内配送に適した物流施設を整備することで、幹線輸送とラストワンマイル輸送の連携など物流のあらゆる業務をワンストップで提供できるようになります」とシナジー効果を強調する。

 また、貨物駅内に「積替ステーション」を整備して、鉄道とトラックとのクロスドッキング機能を強化する取り組みも進んでいる。鉄道とトラックとのアクセス性が高まれば、それぞれの強みや特長を生かした新たな輸送サービスの提供も可能になる。「いろいろな荷物が貨物駅を通過する仕掛けをつくることが、結果的に貨物駅の価値向上、ひいては貨物鉄道の拡大にもつながると考えています。そのためには、あえて鉄道輸送だけにこだわらないという意識も重要になります」と語る。

競争から協調へ 物流のSDGsを実現へ

「持続可能な物流、つまりSDGsにかなった物流を実現していくためには、これまでの輸送モード間の“競争”という意識から“協調”に変えていく必要があります」と和氣氏。その意味で、輸送手段を一方通行的に転移させていく「モーダルシフト」から、それぞれの輸送モードの特性に応じた最適解を追求する「モーダルコンビネーション」という考え方がより重要になってくるという。また、モーダルコンビネーションという考え方は、旅客鉄道と貨物鉄道との共同化にも広がると指摘する。「新幹線という高速かつ災害耐性のある鉄道モードを人流と物流の両面で活用していくことは、持続可能な社会を構築していく上でも大事になっていきます」と将来的な貨物新幹線輸送の可能性にも言及している。

「モーダルコンビネーションを実現するためにも、貨物駅の結節機能をさらに高め、JR貨物グループが総合物流企業グループに成長していくことが大事だと考えています」という。

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日本貨物鉄道株式会社
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