国産ドローンの物流革命が夢から現実へ。世界の頂点を目指すドローンメーカーの挑戦飛行するドローン(那須のリゾート地での実証実験)

規制緩和を背景に、物流のシーンで活躍する産業用ドローンの需要が高まりつつある。求められるのは、運行距離が長く安全性の高い量産型のドローン。産業用ドローンの開発に特化したVFRは、優れた技術力と量産化のノウハウを武器に、名実共に世界一のドローンメーカーを目指す。

 2022年度はドローン業界にとってシンボリックな年になるといわれている。規制緩和で有人地帯における目視外飛行(レベル4)が実現することに加え、自動車業界と同様にドローン操縦のライセンス制度や、機体の認証制度が導入される予定だからだ。

国産ドローンの物流革命が夢から現実へ。世界の頂点を目指すドローンメーカーの挑戦VFR
湯浅浩一郎
代表取締役社長CEO兼CRO
ハピネスフォワード推進部長

 これまでのドローンは撮影などの趣味的な利用が多く、産業利用は農業用(農薬散布など)や点検用(橋りょうや大型構造物など)などに限られていた。レベル4の規制緩和が実現すると、いよいよ物流用途での活用が現実味を帯びてくる。

 ドローンの製造・販売は、中国企業が圧倒的に強いイメージがあるが、ここに来て日本企業の本格的な参入も始まっている。その代表的な存在の一つに位置するのがVFRである。

「中国企業のドローンは、完成度は高いのですが、産業用途となると独自のプログラムを組み込むなどカスタマイズの必要が出てきます。中国企業は開発環境をオープンにしていないので、中身をいじることができない。いざ社会実装となると、国家安全保障などセキュリティーの観点からも、国産のドローンが求められるようになります」

 そう語るのはVFRの湯浅浩一郎社長だ。

パソコン事業で培った技術とノウハウが生かされる

 VFRは20年3月、ソニーのパソコン事業を前身とするVAIOの子会社として設立された。事業内容は、産業用ドローンの設計・製造・販売である。ドローンを社会実装するにはオープンな共創が不可欠という考えから、20年5月に制御技術のソフトウエアに強みを持つACSL(自律制御システム研究所)との協業をスタート。長野県安曇野市にある生産拠点でドローンの開発・製造を受託しながら事業を進展させ、21年12月には国内初となる産業用ドローンの標準機「SOTEN(蒼天)」(ACSL製)の在庫販売の予約受け付けも開始した。

「当社の強みは、VAIOで蓄積してきたコンピューティングやロボティクスの技術を生かせること。電子回路のノイズ対策や省電力化、通信モジュールの技術など、ドローンの設計や開発に必要な技術は、パソコンのコンピューティング技術と似ているのです。もう一つの強みは、パソコン事業を通して、社会実装に必要なサプライチェーンのマネジメントを含めた『量産』の経験を持っていること。5%未満の不良率に抑えられるものを量産機と呼びますが、その量産機を製造できるノウハウを持つドローンメーカーは、国内では他にないと思います」