2022年4月から、コナミスポーツクラブが全国で展開中のジュニアスイミングスクールにおいて「スマートスイミングレッスン」を順次スタートさせるという。このスマートスイミングレッスンとは何か。実は、昨年の5月からスポーツクラブ ルネサンスでは導入が始まっている。スイミングスクール業界の常識を変え、保護者と子どものコミュニケーションを変え、日本の未来までも変えようとしているスマートスイミングレッスンの価値とは。
子どもの成長は早い。だから、成長していく子どもの姿を見逃したくない。この目でしっかりと見守り、脳裏に焼きつけておきたい。
子どもの成長を促してくれる。その日々の貴重な姿をつぶさに見届けることができる。そんな画期的なシステムがあるとしたら……。
子どものやり抜く力と自己肯定感を育むスマートスイミングレッスン
フィットネスクラブ、スポーツクラブ、スポーツジムを運営するルネサンスは、全国約80カ所のクラブで展開中のジュニアスイミングスクールにおいて、2021年5月から日本で初めてスマートスイミングレッスンを導入している。
スマートスイミングレッスンは、ソニーネットワークコミュニケーションズが開発したITソリューションだ。プールサイドや水中に設置されたカメラで撮影した映像をレッスンの最中に活用したり、クラウドを通じて生徒一人一人に個別の動画を配信したりするなど、スイミングスクールの在り方に革命を起こしている。
これまでのスイミングスクールでは、特にジュニアスクールにおいて、保護者が見学できる場所に制約があったり、プライバシー保護の観点から撮影が不可だったり、忙しくて見学に行く時間がないといった課題が顕在化していた。スクール側には、コーチの人手不足などの課題があった。
こうした課題を見事に解決しながら、生徒・保護者・コーチに新たなコミュニケーションとつながりまでもたらしたスマートスイミングレッスンとは、どのようなシステムなのか。ソニーネットワークコミュニケーションズ法人サービス事業部の田村錬志氏、田島精一郎氏に話を聞いた。
法人サービス事業部 スポーツエンタテインメント部 部長
田村錬志氏
もともとはソニーグループでホームオーディオのエンジニアとしてキャリアをスタート。現在は、テニスセンサーやゴルフセンサーといった技術を次々と開発してきたスポーツ事業のかじ取り役を担っている
このレッスンには大きく四つの特長がある。一つ目は、動画の効果を最大限活用したレッスンだ。生徒と保護者は、ルネサンスのアプリからマイページにアクセスして、めあてやお手本動画を見て、次のレッスン内容を確認することができる(下図参照)。次の回で何に取り組むのか。これを生徒と保護者が事前にチェックすることで、練習に取り組む生徒の気持ちがより前向きなものへとシフトしていく。実際のレッスンでは、プールに設置された複数のカメラが生徒一人一人の泳ぎを撮影しているので、タブレットで自分の泳ぎの動画を見て、課題を発見し、修正していくことができる。
「コーチの言葉を聞くだけでは、なかなか理解につながりにくい。それが、動画を見ながら話を聞けば、早く、深く理解できるのです。こうして生徒とコーチのコミュニケーションが円滑になることの効果は計り知れません。理解したイメージを携えて、次の泳ぎに挑み、次回のレッスンに参加できる。上達のエコシステムが出来上がるのです」(田村氏)
二つ目は、マイページから進級テストの動画や結果を確認できること(下図参照)。「進級テストの動画は、水中も含めて何台ものカメラで撮影した映像をAIによる最新技術で自動編集しています。なかなか見学に行けない保護者がお子さんの様子を自身のスマートフォンで確認できるのです。お子さんと一緒に自宅などで見れば、そこでさまざまな会話が生まれ、気づき・やる気のアップデートに貢献するでしょう」(田島氏)。
三つ目として、主に未就学児のクラスを対象に普段のレッスン中の動画も配信されるので、忙しくて見学に行けなくても、保護者は自宅や外出先でわが子の様子を動画で見ることができる。そして四つ目は、プール全体を複数のカメラで連続撮影することで、安全安心をサポートすることだ。
学習塾やピアノなどの他の習い事と違ってスイミングスクールには、施設を出てしまうとサービスが受けられず、子どもの着実な成長が家庭内で保護者に伝わりづらいという課題もあった。スマートスイミングレッスンは、この課題を見事に克服している。また、子どもと保護者のどちらにとっても安心と成果を実感できる点で、非常にイノベーティブだ。