スポーツスクールに革命をもたらしたソニーの技術
「進級テストの動画を自動的に作成するためには、映像から泳いでいる人を個別に認識する必要があります。プールという環境下で画像認識を実現するためには、高温多湿、外光や照明を反射する水面の影響、体の大部分が水に潜っている状況など、通常の画像認識技術では克服できない課題をクリアしなければなりませんでした。長年にわたってソニーが蓄積してきた画像認識のAI技術を駆使することにより、私たちは課題を克服したのです」(田村氏)
技術の力で人々の生活を豊かにしたいという強い思いを持ったファウンダーの下に、才能と情熱にあふれる技術者が集まって歴史を築いてきたソニー。この令和の時代も、冷めやらぬ「ソニースピリット」で世の中の課題解決に挑んでいるのだ。
「私たちのスポーツスクール向けの取り組みは、17年のスマートテニスレッスンからスタートしています。ラケットのグリップエンドにセンシングデバイスを取り付けてスイングのクオリティーを可視化し、映像とスイングデータを活用しながらレッスンを実施いただくことで、これまでになかったレッスンを実現していただくというものでした。その後、スマートゴルフレッスンも展開して、ソニーはスポーツスクールが展開しているサービス価値向上に貢献するためのチャレンジを続けてきました」(田村氏)
法人サービス事業部
スポーツエンタテインメント部
SE事業推進課 課長
田島精一郎氏
ディー・エヌ・エーで事業企画の仕事などを歴任した後、2012年4月に入社。以来、スポーツエンタテインメント事業の立ち上げに携わる
ソニーグループにおけるスポーツスクールのDX(デジタルトランスフォーメーション)推進の端緒となったスマートテニスレッスンは、テニスに対してパッションを持ち合わせている社員が情熱を傾け、数々の困難を乗り越えて事業化に至ったという。
「私は小さい頃から水泳をしてきて一時は選手でもあったので、情熱的にはテニスの担当者にも負けていません(笑)。実は娘がスイミングスクールに通っているのですが、私が水泳を始めた40年前とあまり環境が変わっていないのが実情でした。一方、現在ではトップクラスの選手たちは、自分の泳ぎの映像をトレーニングに活用しています。こうした環境がジュニアの頃から一般的なものになるなら……。それが私のモチベーションとなってスマートスイミングレッスンの事業化にこぎ着けることができました」(田島氏)