コロナ禍によってグローバルに社会・経済が大きく変化し、企業は変革のスピードを格段に速めることを求められている。戦略策定から実行・実装に至る企業変革を支援するPwCコンサルティングも、クライアントに対する価値提供のスピードを上げるべく、自ら変革に挑んでいる。その変革のビジョンについて、同社常務執行役 パートナーの山根祥氏に聞いた。

日本企業の変革の先頭に立ち、複雑な課題をグローバルに解く

 日本企業は近年、グローバル化、デジタル化、脱炭素化など、グローバルなメガトレンドに対応するための変革を迫られてきた。

 そのタイミングでコロナ禍が世界を覆い、社会生活や企業活動の様相を一変させた。日本では遅々として進まなかったリモートワークがわずかな間に普及したように、かつては数年単位だった変化の時間軸が、数カ月単位へと一気に短縮され、企業は段違いのスピードで変革を実行することを迫られるようになっている。

「3つのD」で
企業の変革を加速させる

 変革のスピードによって企業の命運が左右される中、PwCコンサルティングでは自らの大きな変革について、真剣な議論を重ねた。戦略策定から実行・実装に至る変革を支援するPwCコンサルティング自身が大胆に変わらなければ、クライアントの変革をスピーディーに実現することはできないと考えたからだ。

 そして、2021年7月に策定されたのが、「3つのDによる変革プラン」である。3つのDとは、「Design」「Disruption」「Dimension」を指す。

 「クライアントや社会の未来像を描き・作り(Design)、従来の概念や枠組みを覆し(Disruption)、多次元から考える(Dimension)ことによって、新しい価値やビジネスを創造していく。これは、私たち自身の変革と人材開発のコンセプトであり、クライアントへの価値提供の在り方を示すものでもあります」。PwCコンサルティング常務執行役パートナーの山根祥氏は、そう説明する。

 このコンセプトの下に、①クライアントが持つ課題ごとに柔軟にカスタマイズされたコンサルティングをこれまで以上に迅速に提供する、②クライアントと共に描いた未来を、独自のデジタルプロダクトやクラウドサービス、エコシステムなども組み合わせながら即座に実現する、③デザイン思考やアジャイルアプローチ、先端テクノロジーによるデジタルトランスフォーメーション(DX)を体感できる「エクスペリエンスセンター」「Technology Laboratory」なども活用しながら迅速な戦略実現・意思決定を支援する、という3つの軸で、クライアントの変革を格段に速めていくことを目指す。