生徒主導で運営される
「STEAMプロジェクト」
文大杉並のもう一つの教育の特徴は、2020年から本格的に始まったSTEAM教育だ。
その理念は、生徒自身のワクワクを原動力にして、教科の枠にとらわれない学びを実現すること。探究と創造を通して、まだ世の中にない“価値あるもの”を創り出すのが目標だ。具体的には、放課後に希望者が集まって活動する「STEAMプロジェクト」を実施している。生徒主導で運営され、全ての活動はPBL。現在約130人の生徒が参加しているという。
中1と中2は、「STEAM Play倶楽部」としてコンピュータサイエンスやプログラミングの基礎を学び、中3以降は「メイカー」「社会課題探究」「キャリア探究」「広報・活動記録」の4部門に分かれて活動を行う。校内にとどまらず、社会との連携を積極的に行うのが特徴だ。
例えば「社会課題探究」のあるグループは、「使い捨てカイロを用いた水質改善活動~Go Green Project~」に取り組み、企業や大学の研究室と協働しながら、カイロ回収を実施。地域の商業施設や公共施設、教育機関を巻き込みながら、環境への貢献活動を行っている。
「STEAM教育とは理数教育ではなく、あくまでも生徒たちの好奇心を原動力として、探究的な活動を促進すること。教員がレールを敷くのではなく、課題を発見するのは生徒で、その課題を解決するのも生徒。探究的な活動とものづくりを通して、ただの知識の提供ではなく、物事を深く考えられる“思考力”を磨いてあげたいと考えています」と染谷教諭。
「知る」「考える」「創る」を実現するため、「学年STEAMワークショップ」を開催。パッシブな講義形式の授業ではなく、生徒自らが未知の知識と向かい合い、生徒同士で教え合いながら、創造的なアウトプットを行う学びを実践している。
「STEAMプロジェクト」に参加しながら運動部や文化部と兼部する生徒も多く、学校全体が多様な目的を持つ生徒で活気に満ちている文大杉並。グローバル教育とSTEAM教育の両輪で、“生徒一人一人が主役になれる学校”に確実に向かっているようだ。