R&Dコストの削減と
リソース配分最適化を実現

 今、日本のヘルスケア/ライフサイエンス業界は二つの大きな課題を抱えている。

 一つは、研究開発(R&D)の高度化による研究コストと投資リスクの増大だ。低分子医薬品からバイオ製剤への進化に象徴されるように、テクノロジーの飛躍的な発達に伴って研究の難度が高まり、研究コストは増大。医薬品原価、労働コスト、製造コストも軒並み上昇している。こうした中、R&Dの効率をいかに高め、経営リソースを最適配分していくかという高度な判断が、これまで以上に求められている。

 課題の二つ目は、従来のような自前主義のR&Dは成功確率が低下していることだ。企業はテクノロジー進化への対応を迫られ、ハード、ソフト、ナレッジなど新たなリソースを必要としており、開発のスピードアップも求められている。こうした状況下では「自前の開発だけに頼るのではなく、アカデミアやベンチャーの研究シーズ(種)を導入し、大手企業のリソースを組み合わせることで、開発のスピードアップと投資リスクの低減を図ることが重要になっています。湘南アイパークがこういった課題を解決できる場になることを目指して日々運営しています」(藤本GM)。

自前主義を脱却し、日本発のイノベーションを湘南から世界へ湘南ヘルスイノベーションパーク
ジェネラルマネジャー
藤本 利夫
京都大学医学部卒業後、胸部外科医として日本、ドイツ、米国で臨床に従事。外資系製薬会社日本法人の研究開発担当取締役副社長を経て、2017年12月より現職。神戸大学大学院経営学修士(MBA)。

 二つの課題の解決策として現実的かつ有効な手段は、湘南アイパークのようなサイエンスパークへ移転することである。

 ヘルスケア/ライフサイエンス関連の多様なプレーヤーが集まっている拠点にラボを設ければ、オープンイノベーションの推進体制をスムーズに構築できる。自社にはないアイデアや技術、ノウハウを持った企業・研究機関、異分野の人材と交流でき、イノベーションにつながるセレンディピティー(幸運な偶然)が生まれやすい。

 テナントとして研究施設・設備をレンタルできるので、R&Dにかかる有形固定資産の保有・運営コストを圧縮できるメリットもある。

日本発のイノベーションを
世界に発信する協業の場

 国内に複数あるサイエンスパークの中で、湘南アイパークの強みはやはり、オープンイノベーションを創出するエコシステムとしての優位性だろう。実際、コロナ禍に見舞われた20年度でも湘南アイパークの企業間では913件の協業が成立、21年度は1700件以上と急拡大している。

 その背景には、湘南アイパークが提供する質の高い研究施設とイノベーション支援策がある。

 湘南アイパークには、高度な実験が可能な施設や実験機器がそろっている。入居すればすぐに最先端の研究に集中でき、前臨床試験のプロセスを一気通貫で実施することが可能だ。

 広大な床面積を持っていることも大きな魅力で、数百人規模での移転もできる。関東地方で研究拠点を構えた企業のR&D施設のうち約3割が老朽化しているという調査もあり、研究拠点の移転や建て替えは企業にとって頭の痛い問題となっている。湘南アイパークへ移転すれば、そうした老朽化問題も解決できる。ある大手企業は、「分散、老朽化していた研究拠点を湘南アイパークに集約したことで、コスト削減だけでなく、社内連携が深まり研究活動が活性化した」と評価する。

 イノベーション支援策として特徴的なのは、年240回以上に及ぶイベントの実施だ。企業や大学の研究者が先端論文について意見交換する「サイエンスカフェ」、企業の経営層が交流する「リーダーズクラブ」、アカデミアの研究を企業が評価する「イノベーションタイガー」など、実にさまざまなイベントが頻繁に開催されている。さらに、協業パートナーの検索から面談まで可能なマッチングシステムも用意されている。「湘南アイパークは、産官学の人材、ナレッジ、資金などをダイナミックに連携させ、日本発のイノベーションを湘南から世界に発信していきたいと思います」。藤本GMは、そう語った。

自前主義を脱却し、日本発のイノベーションを湘南から世界へリラックスして打ち合わせができるミーティングスペースやアスレチックジム、会議室など共用施設が充実している
●問い合わせ先
湘南ヘルスイノベーションパーク
〒251-8555 神奈川県藤沢市村岡東2-26-1
TEL:0466-32-4464
https://www.shonan-health-innovation-park.com