情報セキュリティー分野のリーディング企業であるラックは、日々進化する金融サイバー犯罪に対応するため、日本サイバー犯罪対策センター(JC3)と連携。自らも金融犯罪対策センター(FC3)を立ち上げ、最先端のセキュリティー対策やコンサルティングを展開している。

「犯罪の手口や手法を正確に把握することが重要」
AIを用いた高度な不正取引検知技術で、金融サイバー犯罪を撲滅する日本サイバー犯罪対策センター(JC3)
島根悟理事(元警視庁副総監)

 ここ数年、金融サイバー犯罪と特殊詐欺が急増している。金融サイバー犯罪とは、デジタルな金融サービスを狙って資金詐取をするもので、フィッシング被害やインターネット不正送金、クレジットカード不正利用、不正チャージなどがある。2021年のフィッシング報告件数は52万件、5年前の50倍以上に急増し、クレジットカード不正利用(番号盗用)被害も311億円(同4倍)に拡大。特殊詐欺も、高齢者に電話してATMに誘導し犯罪者口座へ送金させる還付金詐欺など、ATM不正利用が112億円(同3倍)に急拡大している。

「こうした中、金融機関は被害防止に向けた対策を進めていますが、昨年だけでも、従来の犯罪対策を事実上無効化するような新たな手口が複数出てきて、金融機関の防御力は相対的に低下しています。例えば、金融機関は不審な取引に対して『追加認証』を携帯電話に送って本人確認することで不正取引を抑止しますが、犯罪者が携帯電話番号の転送サービスを悪用して、『追加認証』を自分の携帯電話に送ることで認証を突破するような手口などです。犯罪者の手口は日進月歩で、金融機関と犯罪者の“いたちごっこ”が続いているのが実情です」

 そう説明するのは、ラック金融犯罪対策センター(FC3)の小森美武センター長だ。