「金融機関と犯罪者の “いたちごっこ”が続いている」
AIを用いた高度な不正取引検知技術で、金融サイバー犯罪を撲滅するラック 金融犯罪対策センター(FC3)
小森美武センター長

「『AIゼロフラウド』の特長は、金融犯罪に特化したAIエンジンを搭載し、高精度な検知が可能である点です。FC3の深い金融犯罪知見と、ラックの最先端AI知見を融合させたAIエンジンで、ATM不正取引においては、不正検知率94%の高精度を実現しています。連携方法はリアルタイムとバッチ式の両方を用意し、導入方法も勘定系システムに組み込む、既存システムと併用するなどの複数を用意して、利用しやすくなっています」(小森センター長)

 銀行が導入している既存の検知システムは、およそ50~60%の検知率といわれており、それと比べても「AIゼロフラウド」の精度の高さは注目に値する。機械学習と深層学習を活用して犯罪のパターンを何万通りも設定しているため、不正検知の“網の目”が非常に細かいのだ。

 ラックFC3ではまた、金融機関の金融サイバー犯罪に関するコンサルティングサービスも展開している。金融犯罪対策に当たっては、犯罪者の動向や手口を把握し、認証の強化を中心に多層的な対策を行うことが必要になる。ラックFC3では、金融機関の不正対策の耐性を評価し、最適な対策を提案する「金融犯罪対策の第三者評価」を提供する。具体的な金融犯罪対策を、金融機関業務の実務に落とし込むところまでアドバイスできるのが、ラックFC3の強みとなっている。

金融犯罪の知見プラス
AI技術の融合に期待

 JC3の島根理事は、「今、金融サイバー犯罪は分業化が進み、攻撃に弱いところを狙う犯罪が増加して、手口も巧妙化し続けています。対策としては、攻撃が難しいと思わせる取り組みが重要だと考えています。その点で、金融犯罪知見と最先端のAI技術を融合したFC3の対策は、金融機関にとって大きな力となるはず。これからの活躍に期待しています」と語る。

 ラックFC3では今後クレジットカード不正利用やEC決済の不正取引などの領域へも進出する予定。AIゼロフラウドをサービスとして提供する「Security as a Service」の実現を目指して、金融犯罪被害ゼロに向け注力していく考えだ。

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