事業部門や経営陣の
理解も不可欠

 マネーフォワードは、23年10月に開始するインボイス制度への対応も着々と進めている。

 手始めに行っているのは、請求書の発行と受け取りに関する現状把握だ。

「例えば銀行口座振替やクレジットカード決済のように、請求書を発行せずに消費税込みの代金を受け取っているサービスもあります。当社が支払う分についても、請求書を受け取らずに支払っているケースがあり、これらを一つ一つ検討していかなければなりません」

 現状分析から始めるとなると、かなりの時間を要する。「制度の開始までまだ1年以上もある」などと悠長に構えていると、間に合わなくなる恐れもありそうだ。

 松岡氏は、電帳法とインボイス制度への対応について、①情報収集・インプットは早めに、②二つの制度を同時に対応しない、③システム導入後のスケジュールを引いておく、④二つの法制度対応を超えて目指すは業務効率化・DX、という四つのポイントを挙げる。

「改正電帳法で義務化された電子取引(電子で受け取った帳票を電子のまま保管する取引)には宥恕(ゆうじょ)期間が設けられましたが、23年末には完全施行されます。同年10月にはインボイス制度が開始されるので、ほぼ同じ時期に対応を済ませなければなりません。段階を踏んで取り組むためには、今からでも準備を始めるべきです」とアドバイスする。

 この他に松岡氏は、インボイス制度に対応するためには、「事業部門や経営陣の理解が欠かせません」とも語る。

「ご承知のように、インボイス制度が導入されると、適格請求書発行事業者以外から行った課税仕入れについては、消費税額控除が受けられなくなります。経過措置はあるものの、負担が増加し、業績にも相応のインパクトが生じることになります」

クラウドなら
法改正にも柔軟に対応

 さらにインボイス制度は発行する請求書の要件を満たしているか、また取引先からの請求書も適格請求書かどうかの区分をつけるといった対応も必須だ。

「これらの対応に追われる前に、改修や更新といった手間のかかる自社開発のシステムを変更して、クラウドにするのも良いと思います。クラウドであれば、自社ソフトと違ってベンダー側が対応してくれます。外部に任せられるところは任せれば、経理部はもっと重要な本業に注力できる。例えば請求書を発行しない取引など規格外の対応をどうするか、他部署や経営陣のために電帳法をはじめとした経理のDXの理解を進めるために時間を割くなどです」(松岡氏)

 クラウドのシステムであれば、限られた期間でも改正内容にスピーディーに対応できるし、「経理のDX」を進める上での基盤にもなるはずだ。

 マネーフォワードでは、自社の段階的に実現させた経理のDXの取り組みなどを社外にも紹介することで、ユーザー企業の電帳法とインボイス制度への対応を支援している。そもそもインボイス制度とは何なのかを詳しく知らない企業のために、適格請求書発行事業者の登録申請書類を無料で簡単に作成できるサービスも提供。

「ひとまず登録を済ませ、できるところからステップ・バイ・ステップで進めていくことをお勧めしたいですね」と松岡氏はアドバイスする。

 法改正への対応をきっかけに、自社の経理のDXを検討してみてはどうだろう。

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