CRE戦略の一つとして「オフィスの在り方」を経営的視点に立って見直す企業が増えている。リモートワークが普及しオフィスの縮小を進める企業もあるが、「コミュニケーションが活性化しイノベーションが創出される場」として、また「ESG経営の顔」として新たな価値観に基づいた「オフィス回帰」の動きも見られる。さまざまな形で企業のCRE戦略を支援する積水ハウスにオフィス建築の取り組みを聞いた。

 CRE戦略におけるオフィスに対する考え方は、事業・財務戦略などの観点から、自社ビル保有、リースバック、賃貸、拡大・縮小といったハード面での戦略が主体だった。しかし、コロナ禍によって出社できない環境が強制的に起きたことをきっかけに「オフィスはどのようであるべきか」というソフトも含めた本質的なことを考える経営陣が増えた。

 従来の「定時に全員が集まる」「部署ごとに分かれて座る」から、「コミュニケーションの活性化によりイノベーションを創出する場」「サテライト化による分散やビジネスの継続性(BCP)」「環境への配慮(ESG)」など、多様な選択肢が導き出された。再確認されたオフォスの在り方は、経営戦略の一環であるCRE戦略において、大きなポイントになってきた。

「積水ハウスだからこそ」の
オフィスビル

 多くの人にとって、積水ハウスは戸建て住宅のイメージが強いだろう。しかし約2兆6000億円の連結売上高のうち戸建て事業は14%である(2021年度)。近年は企業の所有地有効活用、寮社宅・事務所の整備といったCRE事業が増え、事業の大きな柱の一つとなっており、戸建て住宅で培われた技術やノウハウが存分に活かされ進化を続けている。そうした技術・ノウハウと不動産価値を高める多彩なスキームを掛け合わせたCREソリューションを積極的に展開している。