CO2削減に対してインクジェットプリンターができること

持続可能な世界をオフィスからつくる──プリンターのリーディングカンパニーがサポートする企業のCO2削減エプソン販売 マーケティング企画推進部 (ブランディング) 課長 梅木正史氏

 環境への取り組み前の企業に対するソリューション提案はわかったが、実際にCO2削減対策を実行しつつも、手詰まり感を感じている企業には、どのような打ち手が提供できるのだろうか。その点について梅木氏は、オフィスの使用電力の10%(※1)を占める出力環境の見直しが効果を発揮しやすいと指摘する。

※1 エプソン調べ。SOMPOリスケアマネジメント株式会社への委託調査に基づく(2018年3月)
 

「これまで工場などの製造現場のCO2削減につながる消費電力削減は意識していても、オフィスに関しては考慮していなかったという企業が少なくありません。しかし従来のレーザープリンターを、エプソンのインクジェットプリンターに置き換えるだけで、出力環境の消費電力を47%以上削減(※2)することが可能です。またインクジェットプリンタ―<LX>シリーズを5年間使ったとすると、CO2排出量に換算して約63kg(※3)、約7本(※4)の杉の木が年間に吸収するCO2に匹敵する削減が可能です」(梅木氏)

※2 エプソンのスマートチャージ対応A3複合機各機種のTEC値とENERGY STAR®画像機器基準Version3.0にて定められたTEC基準値で比較した場合の削減比率。
(<LX>シリーズは60ppm機、<LM>シリーズは40ppm機、<PX>シリーズは24ppm機のTEC基準値と比較)
※3 CO₂排出量は、環境省の「算定・報告・公表制度における算定方法・排出係数一覧」に掲載の算定方法(電気使用量×単位使用量当たりの排出量)を用い、「令和3年提出用」に掲載の係数(代替値0.000470t-CO₂/kWh)を使用し算出。
※4 杉の木のCO₂吸収量は、林野庁の2015年2月公開資料に基づき、杉1本あたり8.8kg-CO₂に換算。
 

 さらにオフィスで発生する大量の廃棄紙の問題にも、梅木氏は言及する。

「エプソン独自の『ドライファイバーテクノロジー』技術を搭載した乾式オフィス製紙機『PaperLab』は、有限の資源である水をほとんど使わず(※5)に、使用済みの紙からその場で新たな紙をつくることができます。実際に、2019年7月~2022年12月時点でエプソンの新宿オフィスにおいてPaperLabで再生した新たな紙の枚数は、357万2987枚(20.4t)になります。これは、木材に換算すると221本分(CO2換算で12.79t)、水に換算すると500mlのペットボトルで3974万本分の削減に相当します(※6)」

※5 機器内の湿度を保つために少量の水を使用。
※6 同一重量当たりのコピー用紙とPaperLab再生時の環境負荷値の差。
前提:それぞれの用紙1tの用紙にて算出、PaperLabによる紙の坪量は90g/m²。
・PaperLabの環境負荷低減算出:東京都市大学 環境学部 伊坪研究室算出(2018)
・既存の用紙水使用量算出:P.R.VAN OEL&A.Y.HOEKSTRA(2018)
・既存の用紙CO₂排出算出:日本製紙連合会2011年公表値に廃棄物燃料分および流通段階分を加算(伊坪研究室算出:2016)
・既存の用紙森林資源保全算出:古紙ハンドブック2017、環境省温室効果ガス算定事例(2012)
・水換算:1万9871m³を500㎖ペットボトルに換算した本数(エプソン換算)
 
持続可能な世界をオフィスからつくる──プリンターのリーディングカンパニーがサポートする企業のCO2削減同一事業所内での紙のリサイクル循環を可能にする「PaperLab」。紙とその制作過程はショールーム「エプソンスクエア丸の内」で体験できる

「さらに、当社は社内での紙の再生だけでなく、2019年からペーパーレス化を推進してきています。コロナ禍の影響によって在宅勤務化が進み、従来より印刷機会が減少した部分はありますが、それでも電子化などによるワークフローの見直しや、不要な印刷物の精査を行った結果、取り組み前と比べ、3年で約40%の紙の使用量を削減しています」(梅木氏)

 プリンターを取り扱うエプソン販売が、ペーパーレスの推進にも積極的なのは意外に思えるかもしれない。

エプソン販売の環境活動とその広がり

 ここまではオフィスでの環境ソリューションへの取り組みを見てきたが、ほかにもエプソン販売は地域行政やパートナー企業との共創活動でも、貢献の仕組みを続々と築いている。その実例について、梅木氏に聞いた。

「地域との共創貢献活動としては北九州市で20年にスタートした『紙の循環から始める地域共創プロジェクト“KAMIKURU(カミクル)”』の例があります。市内の施設に『PaperLab』を設置し、自治体・企業・学校から集めた古紙を再生し、プロジェクト参画者に還元配布する取り組みです。この取り組みでは、障がい者福祉サービス事業を運営する現地のNPO法人様の運営協力の下、集めた古紙の仕分けや再生紙の品質チェックを担っていただいたり、またある学校では校内のプリントを生徒たち自らが協力して回収し、卒業証書としてアップサイクルしたり、と地域の方々と一緒になって活動を展開しています。紙の循環という環境貢献だけではなく、障がいをお持ちの方の雇用創出や、将来世代へのリアルなSDGs教育機会の創出など、さまざまな貢献にもつながっています」

 最後に、エプソン販売が目指す将来展望について、柴崎氏に聞いた。

「企業の環境対応というのは、けっして当社が努力するだけで到達できる小さな目標ではありません。実際の削減にあたっては、私たちと一緒に活動を推進いただくパートナー企業様との協業が不可欠だと考えています。

 お客様の環境対応における課題の解決に向けて、今後エプソン販売は、企業の環境経営を支援するさまざまなパートナー企業様との連携をより一層強化することで、幅広いご支援を行っていきたいと考えています。地球にとってなくてはならない企業となるためにも、お客様のお悩みに真摯に向き合い、持続可能な社会を共につくり上げていきたいです」

「環境/DXに関するアセスメントサービス」
https://www.epson.jp/b_solution/office/workplace_assessment/

「エプソンのスマートチャージで実現する環境配慮型オフィス」
https://www.epson.jp/products/bizprinter/smartcharge/ecology/

「エプソンが社内で実践する環境配慮型オフィス」
https://www.epson.jp/b_solution/office/workplace_office/

乾式オフィス製紙機「PaperLab」
https://www.epson.jp/products/paperlab/

●問い合わせ先
エプソン販売株式会社
URL:https://www.epson.jp