――グローバル事業の今後の展開について、どのように考えていますか。

 GBHQの発足によってベーシックな立て付けはできましたが、これが完成形ではありません。今後、NXグループのグローバル化がさらに加速して海外での売上高比率が高まれば、日本に統括機能を置く必要がなくなり、海外のどこかに本部を置く方が自然な流れになっていくでしょう。

 その時点でGBHQのトップは日本人ではなくなっている可能性もあります。むしろ、そうなっていかないと、海外のメガフォワーダーと伍して戦っていくことは難しいと思います。

――世界で戦っていくためにはM&Aも不可欠です。

 創立100周年を迎える2037年に、グループ売上高で3.5兆円から4兆円を達成し、そのうちの5割を海外で計上するという目標を掲げています。この実現のためには、M&Aは欠かせない重要な戦略です。為替や金利などM&Aを取り巻く環境としては必ずしも良くはありませんが、やるべきことはやっていきます。東京・汐留の旧本社ビルの売却などでキャッシュを生み出しており、資金面での手当ては十分に付いています。

DXで物流のプラットフォーマーへ

――カーボンニュートラルへの対応も大きなテーマになっています。

 経営上の最重要テーマの一つです。今年1月にサステナビリティ方針およびビジョン、さらにCO2排出量削減に向けた中長期目標を設定し、2030年にNXグループ全体の自社排出量を2013年比で50%削減、2050年にカーボンニュートラル社会の実現に貢献するという目標を打ち出しました。

 高いハードルであることは間違いありませんが、国や社会、お客さまの要請にはしっかりと応えていきます。2024年から始まる次期経営計画では、CO2排出量削減に向けたより詳細な取り組みを示していきます。

2030年にNXグループ全体で自社のCO2排出量を2013年比で50%削減するという目標を掲げている。写真は、イタリア・ベネチアで稼働している水素エンジンボート

――物流業界でもDX(デジタルトランスフォーメーション)の重要性が高まっています。

倉庫の自動化・省力化といった物流現場のDXはもとより、DX戦略による新たなビジネスモデルの探索も目指す。写真は無人フォークリフト

 既存事業の深化・磨き上げと、新たなビジネスモデルの探索という「両利きのDX戦略」が大事になります。倉庫の自動化・省力化といった物流現場におけるDXにも引き続き注力していきますが、より重要なのは、10~20年後を見据えて、NXグループが物流のプラットフォーマーとしてどのような価値を世の中に提供できるか、そのためのDX戦略を策定して実行するということです。

 今後の物流業界は、多くの異業種のプレーヤーがプラットフォーマーになるべく参入してきます。実際、ITと資金、不動産さえあればかなりのことができるはずで、物流業界は新たな競争ステージに入っていきます。しかし、われわれには何十年間にもわたって実際の貨物を“触ってきた”経験と実績というアドバンテージがあります。その優位性をより確かなものにしていくためにも、DXへの取り組みをさらに強化していきます。

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