「公共トラックターミナル」として、首都圏と地方とを結ぶ幹線物流を施設面から支え続ける日本自動車ターミナル(JMT)。その圧倒的な立地優位性と結節点としての高いポテンシャルは、目前に迫った「2024年問題」を解決する一助にもなり得る。
国内物流の主役として経済や生活を支えているトラック輸送。そのエッセンシャル産業をさらに底支えしている存在――それが公共トラックターミナルだ。日本自動車ターミナル(JMT)は1965年の創立以来、東京23区内に立地する4カ所のトラックターミナルの運営を通じて、トラック輸送の効率化を支え続けている。
運送事業者の中でもJMTのトラックターミナルを利用する特積事業者(特別積合せ貨物運送事業者)は、大型車両による幹線輸送と小型車両による域内配送とのスムーズな連携を実現している。
藤田裕司社長は「大都市間を結ぶ長距離幹線輸送と都市内の集配業務をつなぐ結節点、つまりハブとしての役割を果たすことで、『物流の合理化』『道路交通の円滑化』『都市機能の向上』に貢献していく――それが当社の不変的な存在意義です」と語る。
「第二の創業」で物流センター事業に進出
しかし、コア事業であるトラックターミナル事業を将来にわたって維持し、特積事業者に使い勝手の良い施設を適切な料金で提供し続けるためには、自らの経営基盤をさらに強化していく必要がある。そのためには、土地の高度利用を通じて、東京23区内に立地する同社の価値を最大化していくことが不可欠となる。その命題に対してJMTが出した答えが本格的な物流センター事業への進出だった。
藤田裕司
代表取締役社長
創立50周年を迎えた2015年に、京浜トラックターミナル(東京都大田区)内に高機能型物流施設「JMT京浜ダイナベース」(以下、ダイナベース)の建設を決定。18年7月に竣工したダイナベースは、その高い立地優位性もあって竣工前に満床契約になる幸先の良いスタートを切った。「『第二の創業』ともいうべき大きなチャレンジでしたが、立地を含めた当社のトラックターミナルが持つ価値の高さが改めて認められた結果であったと思います」と語る。
そして、次なる大きな挑戦となったのが、21年7月に葛西トラックターミナル(東京都江戸川区)内に竣工したEC大手・アスクル向け専用施設「JMT葛西A棟」。オーダーメード型の施設であり、アスクル初の都市型物流拠点としての立地優位性が高く評価された。
「創業当初は都心の“外周部”に位置していたトラックターミナルも、急速な都市圏の拡大で今や首都圏の中心部ともいえる立地に様変わりしてきました」と時代の変化がもたらす新たな価値に言及する。
JMTの施設が“選ばれる”理由は、災害時の事業継続性の高さにもある。4カ所のトラックターミナル全てが東京都地域防災計画における広域輸送基地および国土交通省の民間物資拠点としての役割を担っており、72時間対応の非常用自家発電設備なども備える。
「物流拠点としての立地優位性に加えて、防災機能の高さも高く評価いただいています」