「例えば、自前で物流網を持っていることが強みだった卸などの中間流通業者さまから、物流の一部を当社に任せたいという要望も頂いています。足元での燃料費高騰もあり、2024年問題をきっかけにして物流をアウトソーシングする動きは今後もさらに加速するでしょう」とその見通しを語る。
従来の佐川急便が主戦場としてきた宅配便市場は、ECによって急拡大を続けているものの、わずか3兆~4兆円市場にすぎない。ここ数年はSGホールディングスグループとしての事業領域の広がりに伴い、約25兆円の物流市場全体をターゲットにしてきたが、「今後は自家物流を加えた約65兆円のマーケットを見据え、サプライチェーン全体の課題解決にこれまで以上に貢献していきます」と意気込む。
「宅配便+TMS」がつくる比類なき「運ぶ力」
今後の物流業界は、ドライバー不足が加速することで、「運ぶ」ことの価値がさらに高まる時代を迎える。そうした状況において、佐川急便が形成するパートナー企業を中心とした「運び切る力」はより大きな価値を発揮することになるだろう。「当社はパートナー企業との強大なネットワークがあるからこそ、お客さまの多様な要望にもワンストップで応えることができます。また、それによって、当社にお客さまからのさまざまな情報が集まるようになり、パートナー企業さんとの共存共栄に向けた好循環が可能になります」と強調する。
そのために同社では、パートナー企業の働き方改革に資する取り組みにも力を入れている。その一つがパートナー企業に帰り荷を提供することでトラックの実車率を高める「ラウンドライナー」。チャーター輸送は片道輸送が多いため、TMS課がリアルタイムで収集した輸送情報の中から条件に合う帰り荷をマッチングする。「今後はDX(デジタルトランスフォーメーション)をさらに強化し、求荷求車の機能を高めていきます。また、トラックへの積み込み時間を短縮するなど、ドライバーの働き方改革へのサポートも続けていきます」。
「宅配便にTMSが加わったことで、あらゆる『運ぶ』のメニューを用意することが可能になりました」と本田執行役員は断言する。現在は、国際貨物の輸送も順調に拡大している。「引き続き未開拓領域へのリーチを続けながら、SGホールディングスグループでサプライチェーン全体をトータルサポートしていけるように成長していきます」と展望する。
佐川急便株式会社
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