貨物駅の高度化で「シームレス物流」を実現

 結節機能の強化などによる貨物駅の高度化も貨物鉄道のさらなる役割発揮にとって欠かせない取り組みとなる。

 その一つがマルチテナント型物流施設「レールゲート」の展開だ。「駅ナカ」「駅チカ」に構えることで、幹線輸送の鉄道利用が容易になり、域内配送のトラックと組み合わせることにより、効率的な物流サービスの提供が可能となる。現在、東京貨物ターミナル駅内に「東京レールゲートWEST」「同EAST」の2棟、さらに札幌貨物ターミナル駅内に「DPL札幌レールゲート」を開設しており、今後も全国のターミナル駅を中心に展開を図っていく。

貨物鉄道輸送に強烈な追い風。カーボンニュートラルと「2024年問題」解決の切り札となるか貨物駅を高度化するマルチテナント型物流施設「レールゲート」。各輸送モードの結節機能を強化してシームレスな物流を実現するためにも重要性が増している

「積替ステーション」の設置によるトラックとのさらなる協調にも力を入れる。通常、鉄道コンテナを運ぶには「緊締車」と呼ばれる専用車両が必要になるが、車両数には限りがあり、ピーク時に不足することもある。そこで、貨物駅構内に積替ステーションを置くことで、一般のトラックで貨物を貨物駅まで運び、そこでコンテナに積み替えが可能となる。同じ場所にパレットデポを誘致すれば、パレット荷役の推進による作業負担の軽減にもつながる。和氣執行役員は「一般のトラックによる集配が可能になれば、『使い勝手が悪い』と思われがちな鉄道利用の間口を広げることにつながります」と力を込める。

 ただ、レールゲートや積替ステーションの展開を加速させるためには、駅構内で新たな用地を生み出す必要がある。そこで、同社が取り組んでいるのが「貨物駅のグランドデザイン」。髙橋執行役員は「貨物駅のレイアウトを見直し、複数の建物を集約・合築することなどで新たな用地を生み出していきます。すでに東福山駅などで行っていますが、今後も高度利用を進めていきます」と強調する。

貨物鉄道輸送に強烈な追い風。カーボンニュートラルと「2024年問題」解決の切り札となるかJR貨物では、トラック、船舶など他の輸送モードとの連携強化による「モーダルコンビネーション」に積極的に取り組んでいる(2022年8月31日付日本経済新聞掲載企業広告)

モーダルコンビネーションの中で貨物鉄道の役割を果たす

「2024年問題」に象徴される「運べない危機」を乗り越えるためには、各輸送モードのさらなる連携強化による「モーダルコンビネーション」が不可欠だが、その中で貨物鉄道が担うべき役割は決して小さくない。「トラック、船舶、航空、鉄道などが同じプラットフォーム上で相互補完していかなければ、持続可能な物流は実現できません。その中で貨物鉄道が担うべき役割をしっかり果たしていきます」と和氣執行役員。髙橋執行役員も「期待に応えていくためにも、優れた環境性や労働生産性という貨物鉄道の特性をさらに磨き上げていきます」と語る。

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日本貨物鉄道株式会社
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