EC物流の全体最適化で宅配クライシスの再来を防ぐ

「日本のEC物流でコストをセーブできる余地は大きい。特に自動化技術の採用は人件費の削減や倉庫の24時間稼働を可能とし、結果的に売上高物流費を2~3割ほど下げることができるでしょう。ただ、そうした機器を導入した大規模倉庫を建てるとなると数百億円に上る投資と、システムを開発・運用できる人材が必要となります。その条件がそろったとしても、旗を振れるトップがいないと思い切った投資に踏み切れません。これが、日本でEC物流PFを誰も構築できなかった理由だと思います」

 鎌田社長もインターネット黎明期の1990年代にはすでにその構想が頭にあったが、当時は実行に移す力がまだ備わっていなかった。具体化に向けた契機となったのが、18年から20年にかけてのSBSリコーロジスティクスおよびSBS東芝ロジスティクスのSBSグループ入りだ。日本を代表する電機メーカーの物流子会社だった両社にはIT・LT人材が豊富にそろっており、2社のM&Aで事業規模も年商4000億円の大台を超えた。「これならいけると確信しました」と振り返る。

IT・LT分野が強み。最新の物流倉庫ロボットを導入し、物流の効率化を実現する

 SBSHDは、メーカーや卸・小売りなどの荷主企業から物流を包括受託する3PL(サード・パーティー・ロジスティクス)ビジネスで成長してきた総合物流会社であり、EC関連収入については全売上高の4%に当たる200億円ほど。ただし、今後「EC物流お任せくん」の拡販で30年にはEC物流関連売上高を1200億円まで引き上げる計画だ。「そうなったときに当社グループの売り上げ規模はM&Aなしでも7000億円に達し、国内の3PL会社としてはトップに立つでしょう」と自信を示す。

 同時に、EC業界に対しても「このまま市場成長が続けば既存の宅配・物流会社だけで賄い切れず、“宅配クライシス”のような事態が再来しかねません。EC物流の全体最適化を私たちSBSグループがやり切ることで、日本のEC市場の発展に寄与していきたい」と展望する。

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