iCARE山田洋太代表取締役CEO

健康経営が注目されている。特にこれから会社を担うZ世代は収入やポジションだけではなく、健康に働ける環境を重視している。そこで、「働くひとの健康を世界中に創る」というパーパスを掲げるiCARE(アイケア)の山田洋太代表取締役CEOに、企業が健康経営を実践する上での課題と解決策を聞いた。

企業の健康管理業務を
クラウドで一元化 

 企業向けに健康支援クラウドサービスを提供するiCAREは、山田洋太CEOが心療内科医として働いた経験を基に2011年に創業。そのときの経緯をこう振り返る。

「自分が心療内科医だった際に、不眠症やうつ病の方が企業から多く外来に来られて、なぜなのかと、疑問に思ったことからスタートしています。目の前にいる患者がメンタル不調に陥った経緯など、過去の面談記録などが可視化されていればもっと適切な判断ができたのかもしれませんが、多くの企業ではそうはなっていなかった。その後、産業医の資格を取り、産業医という立場で、働く人の健康に向き合っていると、その現場が、一般の医療現場と違ってブラックボックスになっていたのに気付いたのです」

 山田CEOはまずブラックボックスの可視化に取り組んだ。産業医の視点で見た企業が抱える健康管理の課題は大きく四つあった。それは、①従業員の健康情報がバラバラに保管されている、②健康データを施策に生かし切れていない、③健康施策を実行する人材がいない、④健康経営を推進するナレッジがない。このような困り事を解決するためにリリースしたのがクラウド型健康管理システム「Carely(ケアリィ)」だ。

 山田CEOによると、「Carely」導入によって、企業に眠る健康診断・ストレスチェック・面談記録といった健康データをクラウド上で一元管理できるようになり、ブラックボックスとなっていた本質的な組織課題が「見える化」される。その結果、業務効率化はもちろん、メンタルヘルス不調や休職・離職を未然に防ぐ予防的なアプローチを可能にし、効果的な健康経営、さらにはウェルビーイングの実現に貢献するという。

 また特徴的なのが産業保健・看護職による「Carely専門職サポート」だ。従業員が50人以上の事業場では法的に選任義務がある産業医と異なり、産業保健・看護職は、任意だが企業で従業員の健康管理に従事する保健師・看護師のこと。保健指導などによって従業員の心身の疾病を予防、ストレスチェックの事後措置などにより会社組織全体を健全な状態に導くといった業務に携わる。従業員にとっては健康について気軽に相談できる相手であり、管理職の立場では気になる部下の相談や対応を教えてもらえる相手である。

 自社で産業保健・看護職を直接雇用することは、対応できる人材の少なさ、コストの高さなどからなかなか難しいが、「Carely」であれば自社に合ったプランを契約するだけで済む。

 しかも、「Carely」の産業保健・看護職は約500社の産業保健支援から得た貴重なナレッジを共有しており、オンラインを活用して的確なアドバイスを行うことができるし、事業所の場所も選ばない。加えて、ビジネススキルを身に付けているのでやりとりがスムーズだ。

 そもそも人事・総務は、産業保健の専門家ではないにもかかわらず、相応の知見が必要になってきている。だが、このような面談業務や健康管理のDXをすることで、本来の業務へ注力できるようになる。導入企業では、健康管理にかかる作業時間を約4分の1に効率化しているというデータもある。そして、経営層は健康経営推進体制の強化ができ、経営に欠かせない人事戦略や健康施策の立案に時間を使うことができる。

「Carely」の産業保健・看護職は、クラウドにアップされた従業員の人事労務情報、健康診断やストレスチェックの結果、産業医などとの面談情報を基に、従業員とオンラインや対面などで面談し、必要であれば食事や運動といった生活習慣のアドバイス、健康プログラムなど具体的な提案もする。また定期的に人事・総務とも相談、面談を行うなど、それぞれの企業に合わせて柔軟に対応している。