こういった状況の中で注目されているのが、シンクライアントシステムを使ったソリューションです。“シンクライアント”とは、データ処理がサーバー側で行われ、操作するクライアントPCには画面だけが送られてくる仕組みのこと。取り扱うデータはサーバー内にしか存在しないため、セキュリティーを確保しながら業務を行うことができます。

 もちろん、これを「ネットワーク分離だから、境界型セキュリティーだ」と言われる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、シンクライアントシステムは認証を含めて多段階のセキュリティーシステムを経由して使うため、「ゼロトラストマイクロセグメンテーション」と考えることができます。

 また、CPUパワーが必要な時は、シンクライアントサーバーのCPU割当を簡単に増やすことができますし、ファイルサーバーなどで大量のネットワーク通信が発生する場合でも、シンクライアントPC側のネットワークに影響を与えず、シンクライアントサーバー側の設定変更や環境構築だけでスムーズに対応できるというメリットもあります。

 シンクライアントシステムはこれまでも大企業や自治体などでよく使われてきましたが、コストよりセキュリティー対策としての利用が多くなってきており、今後はさらに多くの民間企業での活用も進んでいくと予想されています。ゼロトラスト環境下からのレガシーシステムへのアクセスは、すべてシンクライアントシステムを経由させることでセキュリティーを確保する。この「すでにあるもの」と併用するハイブリッドな使い方が、ゼロトラストセキュリティー推進に対する一つのソリューションとして期待されているのです。

「SKYDIV Desktop Client」が選ばれる理由

 一般的なシンクライアントシステムには、高度な専門知識がないと設計・構築・運用が難しい専用の仮想化OS基盤が搭載されているため、これまでは専任の技術者が確保できる大企業や自治体を中心に使われていました。さらに、従来から会社に存在するレガシーシステムと併用したいとなると、多くの民間企業において導入のハードルはかなり高くなってしまいます。

 それに対して私たちSkyが提供する「SKYDIV Desktop Client」は、多くの企業で導入・運用されている「Microsoft Windows Server」と「Microsoft Hyper-V」を仮想化OS基盤としている国産のシンクライアントシステムです。社内のシステム担当者さまにはお馴染みのWindowsサーバー上で動くので、これまでのスキルやノウハウを使ってすぐに導入していただくことができます。

 また、従来の多くのシンクライアントシステムの製品は、もともとアメリカで開発されたものを日本語化しているため、UI(ユーザーインターフェース)上の翻訳が分かりにくい表現になっていたり、英語と日本語が混在していたりすることも多々ありました。

 その点、「SKYDIV Desktop Client」は日本で利用されることを前提に国内で開発していますので、ドキュメントやUIは全て日本語表示です。その上、シンクライアントシステムの運用に特化したUI設計となっているため、ご利用者さまにとっても管理者さまにとっても、迷うことのない分かりやすい操作性を実現しています。

日本向けに開発されたセキュリティー対策の快適さを体感。従量課金型の国産システムが企業の救世主となる「SKYDIV Desktop Client」のシステム管理画面。UIはすべて日本語表示。システム構成図をイラストで表示するなど、視覚的にわかりやすい工夫も
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 導入に関しても、お客さまの目的や状況に合わせた三つの方式をご用意しています。従来からのアプリケーションを動作させたい場合は「VDI方式」を。ブラウザーやMicrosoft Officeといった動作保証されているアプリケーションのみ使いたい場合は「SBC(RDS)方式」を。Webブラウザ―だけ使えればよいという方は、OSのライセンス料が不要でコストメリットの高い「仮想ブラウザ方式」をお選びいただければと思います。

リモートワークのセキュリティーを補完する「Remote Access Services」

 シンクライアントシステムは、クライアントPCに画面だけを転送することで、セキュリティーを確保し、ネットワークの負荷を軽減しますが、これを端末とシンクライアントシステムのサーバー間ではなく、クライアントPC同士を画面転送で接続する際にも同じ技術を使って実現することが可能となりました。

 外出先などの会社から離れたところからインターネット回線を使って、会社のファイヤーウォールやUTM(Unified Threat Management、統合脅威管理)の設定をほとんど変更することなく、会社のPCを外出先から利用することができる。もちろん、データは会社のPCにしかありませんから、外出先で業務を行う場合でもセキュリティーを確保できる。そういったお客さまへの解決策として開発したのが、単体でもご契約いただけるオプション機能「Remote Access Services」です。