日本企業の多くはDX人材が不足しているといわれており、リスキリングを含めてその育成が急務となっている。経済産業省は昨年末、「デジタルスキル標準(DSS)」を発表、DX人材育成の指針を示した。では具体的に、どのような手段でDX人材を育成すればいいのか。グロービスの鳥潟幸志氏に、DX推進の課題とソリューションを聞いた。
データ活用やデジタル技術の進化により、産業構造の変化が起きつつある。その変化の中で企業が優位性を確立するためには、DX(デジタルトランスフォーメーション)の実現が不可欠になる。だが具体的にどう進めたら良いのか、DX推進を担う人材にどのような知識・スキルを学ばせれば良いのか、明確な方針を打ち出せている企業は多くない。eラーニングを導入する企業も増えているが、従業員の動画の視聴が進まず計画が頓挫しているケースもある。
「DX推進においてeラーニングがうまく機能しない要因は、受講者が学ぶ必要性を感じていなかったり、DXについて何を、どのように学べば良いか、分からなかったりするケースが多い」と話すのは「GLOBIS 学び放題」の事業リーダーを務める鳥潟幸志氏だ。
そうした事態を招かないため、企業はまずDX人材育成の前提を整理する必要がある。学ばせる目的を明確にして、誰が何をどのような順番で学ぶのかをしっかり決めていかなければならない。さらに、学ばせるスキルをきちんと定義しておくことが重要になる。
「テクノロジーの知識とビジネスを構想する力、組織の変革をリードしていく力を、バランスよく育成するのが理想的です。そもそもDX推進とは、単なる効率化ではなく、会社のビジネスモデルを変革し、新たな収益を生み出すのが目的です。そのためには会社のカルチャーや業務プロセスを変化させる必要があり、外部の人材にそれを任せるのは難しい。それがDX人材を社内で育成しなければならない理由にもなっています」
「デジタルスキル標準」に
準拠したラーニングパス
では具体的に、DX人材をどのように育成していけば良いのか。そのソリューションとしてグロービスが提供するのが、eラーニングの「GLOBIS 学び放題」である。その特長は、高品質のコンテンツが“体系的”に整理されていることにある。
「『GLOBIS 学び放題』の強みは、グロービスのノウハウが詰まったクオリティーの高い動画を2200コース以上用意していること。初級から応用までカバーできる講座のバリエーションがあり(図1参照)、目的ごとにコースを選定したラーニングパスによって体系的に学ぶことができます」
DX人材育成に関しては、経済産業省が定義する「デジタルスキル標準」に準拠した専用のラーニングパスが用意されている。
このデジタルスキル標準は二つから成る。全てのビジネスパーソンが身に付けるべき「DXリテラシー標準」と、DXを推進する人材に必要な「DX推進スキル標準」だ。「GLOBIS 学び放題」では、「DXリテラシー標準」に準拠したラーニングパスを用意、「DX推進スキル標準」に対応するコースも順次整えている。
その「DXリテラシー標準」には、「Why(DXの背景)」「What(DXで活用されるデータ・技術)」「How(データ・技術の活用)」「マインド・スタンス」の4項目があり、「GLOBIS 学び放題」では「テクノベート」という領域で、これら4項目に対応する全9本のラーニングパスを用意している(図2参照)。受講者はこのラーニングパスに沿って学んでいくことで、DX推進の手段となるデータに関する最新の情報を獲得、発展させる知識を深めることができるのだ。