「R-プログラム」で
思考力や表現力を向上
「R-プログラム」の中心となるのは、毎朝20分間のショートホームルーム(SHR)を活用して行われる「コラムリーディング」と「1分間スピーチ」。新聞の社説やコラムなどを5分間で読んで理解し、5分間で自分の意見を200字以内にまとめ、その意見をクラスメイトの前で発表する。学年が上がるにつれて、社会的・時事的・道徳的な文章を読むようになり、表やグラフを交えたデータ分析なども行う。グループディスカッションやディベートの機会も設けられており、相手の意見を聴き、自分の意見を伝える力が鍛えられていく。
さらに「R-プログラム」では読書の動機付けとして、個人とクラス対抗で読書量を競う「リーディングマラソン」を実施する。中学生には、感想記入欄のある「読書ノート」を配布し、考えながら読む習慣を身に付けさせる。
「子どもたちの読書量が減っている中で、毎日一定の文章を読んで自分の意見をまとめるという作業は、思考力や表現力を向上させる上で、とても大切な訓練になります。その能力は国語だけでなく、さまざまな教科にも反映されます。例えば理科では、R-プログラムを導入して以来、レポートの内容が充実するようになりました。こうして身に付けた能力は、大学入試にはもちろん、社会人になってからも必ず役立つと考えています」(大場校長)
「R-プログラム」では、目的を持った進路選択を促すため、キャリアデザインプログラムも実施している。中学1年は、社会人として活躍する卒業生に話を聞く「職業講話」を、中学2、3年は、企業の協力を得て実際の仕事を体験する「職場体験」を行う。
職場体験では、身近な職場であるコンビニエンスストアやスーパーマーケット、ホテルなどをはじめ、公的機関や法律事務所などさまざまな現場で働く。職場体験後は、一人一人がレポートをまとめ、プレゼンを行う「体験報告会」も実施する。
「博物館での職場体験を選んだ生徒は、館長から外国人のお客さまの案内を頼まれ、英語を使ったコミュニケーションを体験。それがきっかけで英語関係の仕事に就きたいと考え、国際関係の学部のある大学へ進学し、難民救済のNPO法人に就職しました。キャリアデザインプログラムの狙いは、社会を知ることですが、仕事の現場を目の当たりにすることで、職業観を少しずつ育てていきます。それがきっかけで進路を決める生徒もいます」と大場校長は説明する。