ITで効率化するとともに、人的なミスを排除する
ITには人的プロセスを減らすことによる効率化だけでなく、正確性の担保というメリットもある。コンプライアンス上のリスクを最小化するために、勤務時間の見える化は必須だが、本人や上司による手入力ではミスが発生することもある。出退勤時刻などの記録は、客観的な時刻を記録として残すことが重要だ。
勤怠管理のレベルアップにより、残業の抑制に成功している企業も多い。人件費を抑えるとともに、効率的な働き方を促進する。同時に、従業員の健康にも役立てようという狙いだ。
さらに、勤怠管理は攻めの経営の手段にもなりうる。代表的な例は、時間年休の活用だろう。この制度に対して「管理の手間がかかる」と消極的な姿勢を示す企業もあるが、逆に人材採用や業務の効率化に成果を上げている企業もある。
「出社を1時間遅らせたい」、「2時間早く仕事を切り上げたい」といった従業員の要望にきめ細かく対応し、その姿勢をアピールすることで優秀な人材の採用、あるいは離職率の低下を期待できる。また、気軽に有給休暇を取得できれば、その消化率も高まるだろう。
勤怠管理は「従業員を厳しく管理する」というイメージで語られがちだが、それは必ずしも正確な認識とは言えない。それは従業員の多様で柔軟なワークスタイルを可能にし、企業の生産性向上に資するものでもある。もちろん、コンプライアンスの観点も重要だが、法規制への対応は企業として最低限求められること。せっかく法規制をクリアするための新たな施策を実行するのなら、それが企業としての強みにつながるような導入を考えたいものである。