5番目の経営資源として注目される「ファシリティ」。経営戦略に基づいたオフィス移転・統合はコミュニケーションの活性化、生産性の向上など企業の成長につながる成果が期待できる。移転プロジェクトを成功させるポイント、サポートする事業者の選定について、船井総合研究所の大阪本社移転を成功させた濱口朗氏に聞いた。
組織強化に欠かせない
第5の経営資源の活用
安倍政権への交代以降、期待感が高まり、変化の兆しが見え始めたとされる日本経済。とはいえ、かつての右肩上がりの高度成長が再来するとは考えにくく、企業経営が大きな転換点を迎えているのに変わりはない。
国際競争力の強化、情報ネットワーク環境の整備など、グローバルに戦える組織づくりが急務とされている。
以前から経営資源として挙げられてきたのは、ヒト、モノ、カネ、情報の4つ。それに加えて、経営革新、企業改革を行うための「第5の経営資源」として注目されるのが、オフィス環境や設備・施設を意味する「ファシリティ」である。
これまで、日本の経営者の多くはこのファシリティを、与えられた資産と捉え、有効活用するという発想に欠けていた。オフィス移転や改修、レイアウト変更などを戦略的に捉えず、「必要に迫られて」実施するケースがほとんどだった。
しかし近年、ファシリティを経営戦略の視点から見直し、有効活用する企業や団体が目立つ。移転による本社機能の集約、営業拠点の整備・統合などの動きも、ファシリティというフィルターを通した戦略の一つだ。
「企業は人である」としばしば語られるが、では、その人はどこで働くのか。当然、オフィスである。働きやすいオフィス環境を整えることが、知的創造性を活性化し、全体の生産性を高め、企業の成長へとつながる。