オーケー化成は、「あなたのうれしいを色でつくる」を企業理念に、「プラスチックの色」に特化した化学メーカーだ。質感や機能性にこだわった唯一無二の色を生み出すデザイン力を強みに、幅広い産業領域で、顧客企業の製品開発やブランディングをサポートする。
乾 友守 代表取締役社長
数万色ものカラープレートが壁一面を埋め尽くす──。オーケー化成のデザインルームに足を踏み入れると、誰もが「色」の持つ豊かさに圧倒される。
「ここにある見本は、実際に製品化されたことのあるオリジナルカラーばかりです。樹脂の種類や添加剤の配合など、表現できる色のニュアンスは無限です。『白』だけでも数百のバリエーションがあります」。オーケー化成の乾友守社長はそう話す。
主力製品は、プラスチックの着色材の一種である「マスターバッチ」だ。染料や顔料を高濃度で練り込んだ樹脂の粒で、原料ペレットと混ぜ合わせて狙い通りの色を出す。同社では、あらゆる階調のソリッドカラー(単色)はもちろん、マーブルや木目などの模様、メタリックな光沢やマットな質感などの複雑な表現を得意としており、抗菌・防菌、帯電防止、防汚といった機能ニーズへの対応力も高い。
「多様化するニーズに的確に対応できるよう、社内にカラーデザインチームを組織し、クリエーティブな提案ができる独自の体制を整えています」と乾社長。その高い提案力故、インテリアや日用雑貨、家電、化粧品、自動車など、同社が色の設計を手掛ける領域は極めて広い。特に近年は、プロダクトデザイナーや顧客企業の製品開発チームと共に、化粧品のパッケージ開発や自動車の内装プランなど、ブランド価値に直結するカラーデザインに取り組む案件が増えているという。
1994年に米国・ロサンゼルスに工場を建設したのを皮切りに、中国やタイにも進出するなど、グローバル市場も着実に開拓。国内外の多様な業界で数々の色作りに関わってきた経験を生かして、シーズンごとに「流行色」を発表するなど、色にまつわるトレンドやカルチャーの発信にも力を入れている。
「ビジネスモデルはBtoBですが、常にエンドユーザーの価値向上に焦点を合わせてものづくりに取り組んでいるので、マインドはBtoC企業に近いと思います。ユーザーの顔が見える仕事が多いですし、成果がしっかり形になることも、社員の高いモチベーションにつながっています」(乾社長)