積極的な開発投資で
アップサイクルに挑戦
創業以来、半世紀以上の歴史を持つ同社だが、社員の平均年齢は30代と若い。社内のコミュニケーションも活発で、フラットでオープンな社風が特色だ。乾社長自身が83年に入社した学卒1期生で、2017年の社長就任でオーナー企業から非同族企業に転換したことも風通しの良さにつながっているのだろう。
そんな同社のこれからの大きなテーマは「環境」だという。
「使い捨てのイメージが強いプラスチックですが、丈夫で割れにくく、本来はとても長持ちします。その上、使い終わればリサイクルもできて、活用次第でとてもエコな素材になり得ます。技術革新と色の魅力を掛け合わせてプラスチックの魅力をもっと高め、エコでおしゃれな”アップサイクル”を推進していきたいと思っています」(乾社長)
時代のニーズに応える新しい価値創出を加速させようと、研究開発投資にも力を入れる。関東工場(埼玉県)の隣に新しい研究開発拠点をこのほど稼働させたほか、現在、中部工場(三重県)の近隣にも約6000坪の用地を取得し、新拠点の整備プランを進めているという。カラークロッシングステーション(CXS)と名付けたこれらの新拠点から、イノベーションの機運をより高めていきたいと乾社長は語る。
そのために最重要視しているのが「人の力」だ。「小さい組織だからこそ、社員一人一人が自ら考えて、自ら行動する“自走”が大事だといつも伝えています。おかげで向上心の高いメンバーが多く、非常に頼もしく思っています」。知識や経験を学び合う自主的な勉強会が社内で活発に行われており、会社としても社外セミナーの受講や色彩検定などの資格取得支援に積極的で、社員の能力開発を積極的に後押ししているという。
「55期を迎えた21年にビジョンを一新し、コーポレートカラーを『深碧(しんぺき)』に定めました。太古からあらゆる生命を育んできた深い海の色です。海があらゆる生命の多様性の源となったように、私たちも無限の色彩で人の心を色付け、世の中をより豊かにしたいと考えています」