同社の強みは、国内と海外双方の市場で成長が見込めることだ。国内市場に対する強みは、「長期的に安定した収益が見込めるストック型ビジネスモデル(継続的な収益が得られるモデル)が確立されている」(細井社長)こと。というのも新築建物には、計画・設計→新築→維持管理→改修という建物のライフサイクルがある。火災報知設備には消防法および消防庁告示により、設置や維持、定期的な点検・報告などが義務付けられているため、建物のライフサイクルに応じて、防災システムの設計提案→新築建物の防災システム工事→メンテナンス→リニューアル工事を提案することができる。しかもストックは、新築建物がある限り積み上がっていく。
一方、海外は129カ国に進出。各国で独自の法令・規格が定められているため、世界の主要規格別に拠点を持ち、地域の需要に応じた製品を開発・生産し、代理店を通じて販売している。
その結果、同社の売上高は順調に右肩上がりを続けている。「さらなる成長のための人材投資、DX投資を続けたい。既存の事業の範囲にとどまらず、デジタル技術を活用してお客さまのニーズや社会の要請に合った新しい火災防災ソリューションの開発にも挑戦していきたい」と細井社長は手綱を緩めない。
このような積極投資が可能な背景には、強固な財務基盤がある。一つ例を挙げれば、企業の安全性を示す経営指標の一つである自己資本比率(総資本のうち自己資本が占める割合)は59.3%(23年3月期)と非常に高い。
理系・文系を問わず
多様な人材を求める
同社が求める人材像を細井社長は分かりやすくこう話す。「当社は機器の開発・生産、販売、施工、メンテナンスという一貫したソリューションをお客さまに提供しています。そのため理系・文系に限らず、チャレンジ精神を持つ多様な人材に来てほしい」。
チャレンジを支援する教育制度も充実しており、入社時から独り立ちまでをサポートしながら高度なスキルを計画的に学べる体制が整っている。新入社員教育は、社会人としての基礎を身に付ける合宿教育から始まり、製品などへの理解を深めたり関連法令を学んだり現場を体験する約2カ月間の導入教育を経て、配属面談が行われる。配属先が決定したら、そこで必要になる知識・スキルを習得する職種別教育が行われる。年齢の近い先輩社員が任命される1年間の「ブラザー・シスター制度」はさまざまなことが相談できると評判だ。
その後も2年目、3年目集合教育と続くので、無理なく不安なく成長していけるはずだ。英会話など自分が学びたいことを申請して学ぶ選択型の教育制度も充実。4年目以降になると、グローバル人材を育成する海外トレーニー研修制度が利用できる。福利厚生制度も社員の利用しやすさを考えた設計だという。
細井社長は、「社員たちは、防災という業務に従事しているという使命感を持ち、お互いを尊重し、チームワークを大切にして、誠実な仕事をする企業風土を大切にしてきた」ことを強調する。同社は、そのDNAを受け継ぎ、企業風土に共感できる誠実な人材を求めている。