山田 少子高齢化による内需の縮小を、ダイレクトに世界に打って出るチャンスと捉えるということですね。
冨山 そのとおりです。そしてもうひとつ、日本が世界でなかなか標準化できないふたつめの理由には、「内向きな国の政策」もあります。世界標準化の議論というのは、ある種、国家資本主義がせめぎ合うゲームのため、やはり政府の役割がどうしても無視できないのです。政治家や官僚の多くは、国内の資源配分だけを見て、予算を獲った獲られたという話が好きですが、そんなことはいいから、どうやったら日本が世界でマーケットシェアを高められるか、どうやったら日本のスタンダードを世界のスタンダードにできるか、そちらのほうに政策の重点を置いてほしい。内向きの資源配分ではなく、外向きの資源配分へ切り替えるべきです。だからこそ政治家や官僚には、民間の誰よりも民間的なビジネスセンスを持ってもらいたい。つまり、株式会社日本国のマーケティング営業担当の集団に変わるということ。永田町も霞が関も、イノベーションの壁を越えなければならないのです。
(後編につづく)
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