原油や天然ガス等の資源価格は高止まりをしているうえ、安定供給を優先する日本は、それらを長期契約で、世界でも例がない高い価格で輸入している。今後、「アベノミクス効果」で円安基調が続けば、エネルギー資源だけでなく、省エネ・創エネ機器の原料となる資材まで割高感が強まってくる。
そのような状況を考えれば、早い時期に省エネ・創エネおよび環境対応の措置を採っておくほど、経済的に有利になる。自社で使用するエネルギーコストを削減できるだけでなく、再生可能エネルギーの固定買取を利用して、副業としての収益アップも図れるからだ。
省エネ、創エネ、
環境対応が売りになる
一方で、中~大規模の新築マンションを中心に、「MEMS(マンションエネルギー・マネジメントシステム=マンション内のエネルギー消費をネットワーク化して自動制御、見える化する)」の導入が進んでいる。
その住宅版の「HEMS」(ホームエネルギー・マネジメントシステム)を設置する新築戸建ても伸びている。これらの住居では「太陽光発電、蓄電池、EMS」が3点セットとして扱われることが多い。
最終消費財の住宅購入に併せて、車や家電を買い替える傾向が見られるが、その際に、エコカーやエコ家電、給湯・空調システム、エコ照明の需要が刺激される。また、今後の新築マンションでは、当初からカーシェアリングが設定され、電気自動車が使用されるケースもある。
ディベロッパーやハウスメーカーにすれば、省エネや創エネ、環境対応の努力が、商品の売行きに直結する。環境意識の高いヤングファミリー層を中心に、環境対応物件への入居ニーズが高まっているからだ。
住居に限らず、省エネ、創エネ、環境対応で、二酸化炭素の排出も抑えた宿泊・娯楽・飲食施設も増えている。それらの施設では、自らの経費削減、収益向上に留まらず、そのまま顧客への訴求材料となっている。
「CSR+アルファ」を求める企業の省エネ、環境対応のニーズは、業種・業態を問わず今後も高まっていくだろう。
売電や環境対応分野に、企業が新規参入しやすくするためにも、一層の技術革新と価格低下が必要だ。同時に、再生可能エネルギーの買い取りの継続、補助金の拠出など、行政によるサポートが必須となるだろう。