多様性で革新を
生み出してきた実績
もう一つ、同社が人を大切にしているのはダイバーシティ(多様性)の向上を目指すことだ。
「P&GではConsumer is Boss(消費者がボス)という考え方を重視しています。私たちのボスは、上司や株主ではなく、消費者だという考え方であり、消費者が何を求めているのかを深く理解することを最優先に掲げています」(ケリー氏)
このミッションの実現にはイノベーションが重要であり、そのイノベーションを加速する鍵となるのが多様性であると、ケリー氏は力説する。
「P&Gでは19世紀から、消費者の日々の生活をより良いものにできるよう、さまざまな製品イノベーションを積み重ねてきました。その基礎となるのは、まだ満たされていない消費者のニーズを深く理解することです」
例えば、同社の消臭剤ファブリーズは、当初衣類やソファの表皮など布用製品として発売された。だが、海外のP&G社員が日本の消費者の自宅を訪問した際、玄関で靴を脱ぐ文化故に、臭いに悩む世帯が多いことを発見。そのため同社は、玄関や靴箱といった空間でもファブリーズの消臭便益が機能するとし、同ブランドから消臭芳香剤の製品も発売。大きな成功を収めた。「これは、家で靴を脱ぐ習慣がない海外出身の社員の気付きと、その気付きを尊重する文化がP&Gジャパンにあったからこそ生まれたイノベーションの一例です」(ケリー氏)。
※2 The Wall Street Journal 「経営トップ250」
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「やってみたいことに
最大限挑戦できる」
「多様性こそがイノベーションの源泉です。『Be Your Best Self(最高の自分であろう)』を採用時のテーマとして掲げていますが、これは社風であると同時に、そのための研修や柔軟に働ける制度などにも及んでいます」(山崎ディレクター)
こうした取り組みは、ダイバーシティのほか、働きがいや勤務環境の向上といった多くの分野で積み重ねられており、働く場としてのP&Gの評価は国内外で非常に高い。
ケリー氏は語る。
「社員各人がやってみたいことに最大限に挑戦できる環境をつくること、それが人事責任者である私の最大の仕事です。入社1年目から、プロフェッショナルを目指して成長することが期待されるため、一人一人が責任のある立場となりますが、その分自分らしく、充実した仕事ができると信じています」
P&G
■創業/設立年:1837年
■売上高:820億ドル(約12兆円)
■従業員数:約10万人
■主な事業内容:洗濯洗浄関連製品・紙製品・医薬部外品・化粧品・小型家電製品などの販売
【P&Gジャパン】〒651-0088 兵庫県神戸市中央区小野柄通7-1-18三宮ビル北館
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*2023年11月までの情報をまとめたものです