NTTグループと順天堂大学は、科学的データやその分析結果を活用し、アスリートおよびチームの強化、スポーツ外傷・障害の予防をめざすスポーツ支援サービス開発の共同研究を2023年より行っている。研究には大宮アルディージャVENTUS(ベントス)、浦安D-Rocksも参加。その狙いと成果について、日本電信電話の工藤晶子取締役執行役員と、順天堂大学スポーツ健康医科学推進機構の鈴木大地機構長に聞いた。
――NTTグループと順天堂大学は、2023年4月から「遺伝情報などを用いたスポーツ支援サービスの開発に関する共同研究」を実施しています。まずは共同研究に至った経緯についてお聞かせください。
工藤 NTTグループは「データの活用」を社会に提案していくことを使命としています。
そのためにさまざまな事業を展開していますが、スポーツの分野では、まだ十分な提案ができていないと感じています。当グループは膨大なデータを持っていますが、エビデンスベースの知見や分析手法が伴わなければ活用できません。
そこで、スポーツに加え医学でも最先端を行く順天堂大学に共同研究をお願いしました。
鈴木 順天堂大学は、医学とスポーツを中心とする大学であり研究機関ですが、今回共同研究を行うスポーツ遺伝学も得意とする分野の一つです。しかし、研究成果を社会実装することに関しては、まだ十分な経験を持っていません。
その点、NTTグループは、研究から社会実装、サービス提供まで一貫して行っておられるので、パートナーとして非常に魅力的だと思いました。
また、プロサッカーの大宮アルディージャVENTUSやラグビーの浦安D-Rocksを運営し、社会人スポーツやイベントへの協賛など、スポーツ振興に力を入れておられる点にも、当大学との親和性を感じました。
健康・医療、遺伝子検査などのビッグデータを、スポーツや医学に有効活用するための取り組みを進める両組織。次ページからはその具体的な研究内容をお伝えする。