社員の意見・働き方を
最大限尊重する社風
会社としてユニークな試みをしている。完熟イチゴを社員の福利厚生の品として配布し、好評を得た。すると農園の社員から、「次は県の奨励品種の米(『彩のかがやき』など)を作付けして、秋に全社員に5キログラムずつ配りたい」という声が上がった。田倉社長は、「面白そうなのでその場で了承しました。いずれは多くの作物を作って、『平成(エンタープライズ)自給率』を100%に近づけたい」。社員がやりたいと手を挙げたことは基本的にやらせるというのが田倉社長の方針なのだ。
このように同社には社員を大切にする社風がある。だから、「観光バスの運転手さんが年齢を重ねて長距離運転が難しくなると、短距離運転の福祉バスに変わり、さらに運転手を卒業すると福祉バスの添乗員として働くケースは珍しくありません。そもそも当社には(65歳定年制はあるものの)年齢制限はありません。88歳の福祉バスの添乗員さんも元気に働いています。もちろん新卒者は大歓迎ですが、経験豊富な中途入社、他社を定年退職した後の入社も大歓迎です。福利厚生が手厚いのもうちの魅力の一つだと思います。誕生日に名前入りのグラスを贈り、関東・関西でそれぞれ1泊2日のバスツアーを実施。今年の3月と4月には『イチゴ狩り&屋形船』の日帰りバスツアーを5回開催し、総勢250人の社員が参加。社員旅行が多いのもうちの会社の特徴だと思います」と田倉社長。昨年から、本社社員を皮切りに順次、韓国社員旅行も実施している。
このような福利厚生の充実に加えて、男女の区別のないキャリアアップの仕組みにも特徴がある。管理系の部署では女性が半数以上を占めており、多くの女性社員が管理職に登用されている。国内・海外の旅行チームを率いるのも女性副社長だ。
田倉社長は、観光のみならず社会貢献の側面を持つバス事業を成功させ、OTAに連携する予約システムを自社で構築して総合旅行会社としても存在感を高めた。次の手は何か。田倉社長の動きから目が離せない。