製造現場に設置したカメラの画像から、AIが危険行動を検知

コニカミノルタは、経営ビジョンとして「Imaging to the People」、「お客さまの『みたい』を実現することで、グローバル社会から支持され、必要とされる企業」「人と社会の持続的な成長に貢献する、足腰のしっかりした、進化し続けるイノベーション企業」を掲げ、四つのコア技術「材料」「光学」「画像」「微細加工」を活用して、「みたい」を軸に世界中のお客さまに新しい価値の提供を進めている。

「この経営ビジョンの下、当社は独自の画像AI、画像IoT技術を使って多様な社会課題を解決するソリューション群を提供しています。その一つが、画像系スマートファクトリーソリューションです」と京尾部長は説明する。

カメラと画像AIで作業員の危険行動を検知し“安全・安心のスマートファクトリー”を実現コニカミノルタ
京尾俊作 FORXAI事業統括部 ソリューション事業推進センター
スマートファクトリー事業推進部 部長

この領域でコニカミノルタが目指すのは、「人と機械が意識せず、協働する安全・安心なスマートファクトリーの実現」である。

前述のように、どんなに製造現場の自動化が進んでも、人と機械のタッチポイントは完全にはなくならない。であるなら、それぞれが相手に悪影響を及ぼすことなく、協働し、生産性を向上できるスマートな製造現場を実現しようという発想だ。

そんな発想の下、コニカミノルタが労働安全のために生み出したのが「ADDSAFE」(アドセーフ)というソリューションである。

これは、製造現場にカメラを設置し、撮影された画像からAIが作業員の危険な行動を検知すると、回転灯やサイレン、メールなど、任意の方法でアラートが発報されるソリューションだ。コニカミノルタが長年培ってきた独自のカメラ技術、画像AI技術の組み合わせによって、精度の高い検知とスピーディーな発報を実現しているのが大きな特長である。

「体や手足などを入れてはいけない場所への『進入』の他、『走行』『転倒』の三つの動きを検知するように設計しています。この三つの動きを制止することで、製造現場における約6割の労災事故防止に貢献できると考えます」と語るのは、「ADDSAFE」の開発に携わったスマートファクトリー事業推進部 開発グループの松島克典 ADDSAFEプロダクトオーナーだ。

厚生労働省が発表した「令和5年労働災害発生状況の分析等(2024年)」によると、製造業の労災事故による死傷者数のトップ3は「はさまれ・巻き込まれ」(24%)、「転倒」(21%)、「墜落・転落」(11%)であった。

「ADDSAFE」を使えば、これらの事故防止が期待できるようになるわけだ。