先端半導体材料でグローバル・ニッチトップの理由ADEKA
城詰秀尊(しろづめひでたか)
代表取締役社長 兼
社長執行役員

スマートフォンやパソコンなどに使われる先端半導体向け材料で高い世界シェアを持つのが素材メーカーのADEKAだ。スピーディーな研究開発と安定した品質で、世界の半導体メーカーから厚い信頼を得ており、先端半導体の材料分野で次々と「グローバル・ニッチトップ」の確立を目指す。

「最も力を入れているのは、先端半導体の進化に不可欠な新規材料をスピーディーに開発し提供することです。最先端の材料を矢継ぎ早に創出し続けることで、社会価値と利益の双方を追求できています」と語るのは、ADEKAの城詰秀尊社長。

半導体の高誘電材料では世界シェア約40%で首位

 ADEKAは1980年代に半導体材料に参入。半導体の微細化が進行する中、その製造工程で必要とされる新規材料の開発に取り組んできた。同社が世界で圧倒的なシェアを握るのが、先端DRAM(半導体メモリーの一種)の微細化に欠かせない「高誘電材料」だ。半導体製造プロセスの前工程(シリコンウエハーに回路をつくる工程)において原子レベルの極めて薄い膜を形成する材料で、情報の記憶・処理を担うキーマテリアルだ。現在、世界シェアはトップ(約40%)、先端(16ナノメートル以下)向けでは50%超を占めている。

 DRAMは、電子機器やデータセンターなど高速かつ大容量な情報処理を要する用途で需要が伸長。消費電力削減などを背景に微細化が急速に進行している。加えて生成AIの普及に伴い、高帯域幅メモリー「HBM(High Bandwidth Memory)」の需要も旺盛だ。これらを支えているのが同社の先端材料であり、厳格に管理された半導体製造には欠かせない高純度化や品質管理にも独自のノウハウを持つ。