帝国通信工業 代表取締役社長 羽生満寿夫(はにゅう・ますお)
ゲームや家電、自動車などの電子部品メーカーとして80年の歴史を誇る帝国通信工業。卓越したエレメント(抵抗体)技術を基礎に、さまざまな用途のセンサー部品を開発してきた。最新の研究開発エリアを備えた新本社ビルが2027年に完成予定。医療・ヘルスケアなど、新たな領域への展開で成長を加速させる。
【どんな会社?】
今年で創立80周年、ゲームと自動車の電子部品が主力
1944年8月に設立。東京芝浦電気(現・東芝)、日本電気、日本無線などの共同出資により、無線通信機部品の専門メーカーとして誕生した。今年で創立80周年を迎える。
創業以来、製造を続けている抵抗器は、電流の流れを制限・調整するための部品だ。操作部をスライドや回転させて調整できる可変抵抗器は、AV機器やテレビ等の音量調節などに用いられている。
90年代には、スイッチや抵抗器などを組合わせたユニット電子部品の注文が増加。現在では自動車向けとゲーム機向けのユニット部品が、同社の稼ぎ頭となっている。
開発する部品の種類は時代とともに増え、抵抗器製造で培ったエレメント技術を基礎として、多彩なセンサー部品を開発。生体信号を測定する電極や、機械に触れることなく操作ができる非接触センサー、タッチパネルに使用される透明電極など、さまざまな用途のセンサー部品を世に送り出してきた。
「NOBLE」(ノーブル)のブランド名で国内外に広く知られ、国内に展開する6カ所の製造拠点のほか、海外でもタイ、ベトナム、中国、台湾に工場を持つ。売上高の海外比率が約半分にも及ぶ、グローバルな電子部品メーカーだ。
※帝国通信工業は、8月8日に発表した最新決算で、25年3月期の通期予想を上方修正している。詳細は文末にて。
歴史ある電子部品メーカーの帝国通信工業。次ページでは、顧客企業からの絶大な信頼を獲得する同社の強みについて見ていく。