同社が展開する冷凍冷蔵物流施設の特徴の一つは、比較的小規模な施設が多いこと。「冷凍冷蔵倉庫はドライ倉庫のように何万坪という大きさは必要なく、3000~5000坪でも十分に大きい。これも大手との競合を避けるための戦略です」(杉本副社長)。その結果、小規模の土地を比較的安価に仕入れることができ、スピーディーな施設開発を可能にしている。
施設で使用する冷媒は、自然冷媒にこだわっている。代替フロンに比べてコストは高いものの、テナント企業のCO2排出量削減に貢献できるなど、持続可能な冷凍冷蔵倉庫にとって欠かせない要件だ。
少量の冷凍貨物をスポットで保管するサービス
その同社が、次なる差別化戦略として打ち出したのが「COLD X NETWORK(コールドクロスネットワーク)」。自動倉庫によって冷凍倉庫内の作業を自動化した上で、DX(デジタルトランスフォーメーション)によって冷凍貨物の保管を1日・1ケース単位から受け付けるサービスだ。まずは、24年11月に埼玉県三芳町で稼働する新施設「LOGI FLAG TECH(ロジフラッグテック)所沢Ⅰ」でサービスを開始し、順次全国に展開していく。
新サービスに踏み出したきっかけにも、社会課題を解決したいという強い思いがあった。「マイナス25度という環境下での作業は非常に過酷であり、自動倉庫を導入して省人化したいと考えたのが最初でした。そこから、自動化によるDXを駆使すれば1日単位、1ケース単位でスペースを貸すことができるのではないか──というアイデアが膨らんでいきました」(杉本副社長)。
冷凍貨物は季節ごとに大きな需要の変動があるため、1ケース単位のスポット保管が可能な新サービスに対する反応は上々。「所沢Ⅰ」では、すでに年末に向けてクリスマスケーキやお節料理を保管したいという声が数多く寄せられているという。入出庫などのオペレーション作業は低温物流大手のSBSゼンツウが担うため、高い品質が確保されている点も安心材料だ。
さらに、輸配送サービスに進出することも決定。「倉庫という“点”を輸配送の“線”でつなぎ、“面”に広げます。例えば、東京と北海道のどちらで保管した方がいいのか、輸送費との見合いの中で最適化していける仕組みを構築していきます」と杉本副社長はビジョンを示す。
取締役 本部長 兼
オペレーション企画部 部長
宮越 孝氏
新サービスの開発を担当するSREホールディングス(「DX注目企業2024」選定)との共同出資会社、X NETWORKの宮越孝取締役本部長は「輸配送パートナーを集めるため、多数のトラック運送会社に声を掛けていますが、『ぜひとも参加したい』という前向きな反応を頂いています。まずは所沢Ⅰを起点にサービスを開始し、誰も追い付けないスピードでサービスプラットフォームを拡大していきます」と意気込みを語る。
チームメンバーとして新サービスの広報を担う霞ヶ関キャピタルの安井麻莉シニアアソシエイトは「コールドクロスネットワークは、潜在的なニーズはあるものの、誰も形にすることができなかった“ありそうでなかった”サービスです。食品会社などにその存在を広く知ってもらいたい」と語る。また、同社の不動産開発事業本部の原頌子ヴァイスプレジデントは「DXの力を使って“新しい便利”を形にしていくのが当社のミッションです」と、霞ヶ関キャピタルに息づくDNAを表現する。
(左)霞ヶ関キャピタル ロジスティクス事業本部 COLD X NETWORK事業部 新規事業部 大阪支社 シニアアソシエイト 安井麻莉氏
既存の枠組みを超えた発想と圧倒的なスピード感でコールドチェーン物流に変革をもたらす霞ヶ関キャピタル──その動きからしばらく目が離せない。
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